SIGMA 14mm F1.4 DG DN｜Art ［ライカL用］

SIGMAの技術の粋を集めて生み出された星景写真用最高峰レンズ

24mmを超える、いわゆる超広角域のレンズが必要なシーンは多々ありますが、その中でも特にレンズ性能を問われるのが星景写真です。

星景写真はとてもシビア。満天の星空を画面いっぱいに写すためには、それだけ夜空に浮かぶ星からの小さな光をしっかり取り込む必要があります。つまり、スローシャッターを切ることが前提となり、しかも1秒、2秒の世界ではなく、30秒以上開けることもざら。失敗したときのロスが非常に大きいです。

星の軌跡ではなく点で捉えたいときには、しっかり点で写してくれるレンズ性能も欠かせません。星が伸びてしまうコマ収差、ぼやけて伸びる非点収差、尖った形になるサジタルコマフレアなどがは、いずれも安価なレンズであったり高価なレンズでも開放気味にすると端のにそういった星が写ることが多いです。

クオリティを求めると撮影場所もどんどん過酷なものになっていきます。星以外の余計な光源を避けるために、光の極力少ない郊外に出向いたり、空気の澄んだ冬に撮影するとなればレンズの曇りや結露にも気を配っておかないと、一向に撮影ができないなんてトラブルにも見舞われます。

そういったさまざまな不安要素を徹底的に抑制したレンズが14mm F1.4 DG DN｜Art。レンズ本体に三脚座が付いていることからも、三脚に据え置いて行う星景写真や建築撮影を想定したレンズであることが伺えます。

SLDガラス1枚、FLDガラス3枚、非球面レンズ4枚などを盛り込んだ15群19枚という贅沢なレンズ構成で、F1.4という明るさと描写性能を両立。収差を抑制し、特に描写に影響するサジタルコマフレアへの補正はかなり入念に行われているので、F1.4という明るさで星景写真に挑むことができ、ISO感度を下げることにも繋がります。

そのほか、ピント位置を固定できるMFLスイッチが採用されているので、星景写真を撮るような暗い場所での誤操作でピントを大きくずらしてしまうことへの保険をうつことができます。また、レンズヒーターを巻いておける場所を設けており、こちらも誤操作によるミスカットを減らすための工夫がされているのもポイント。要はフロント側に段差を設けて、巻き付けたレンズヒーターが前玉側にズレて画角に入ってしまうような事故が起きないようにしてあるというもの。寒暖差の激しい時期の夜景撮りには重宝する仕様といえます。

通常の使い方でも非常に頼りになる高性能な超広角単焦点レンズ

星景写真用レンズとして非常に優れたレンズということは、日中の風景写真や、建築写真、ちょっとしたスナップなどでも秀でたレンズということ。超広角レンズにつきものなフレアやゴースト対策も万全に行われていて、抜けの良いスッキリした写真を撮ることができます。防塵防滴構造なので、屋外使用も安心です。

前玉が飛び出たいわゆる出目金タイプでフィルターワークがし辛いのがデメリット。ただし、リアフィルターホルダーが搭載されているため、シートタイプフィルターであれば使用可能です。星景写真での表現の一つとして用いられるソフトフィルターは、むしろリアフィルターでの使用が推奨されているので、星景写真向けレンズとしては理にかなった構造といえます。レンズキャップにフィルターを収納できるスペースが設けられており、安心して持ち運ぶことができます。

ユーザーレビュー

■ ポジティブレビュー

• 開放から違いのわかる描写性能
• 手持ち撮影も可能なボリューム感と操作性
• AFが早くて正確
• 収差への補正がしっかりしている
• 逆光耐性が高い

開放からシャープで収差を抑えたスッキリとした写りは、Artシリーズならでは。フレアが出にくいようなのでシチュエーション選びも楽そうです。

■ ネガティブレビュー

• 近距離撮影に難有り？
• でかい

遠景での描写に重きをおいたレンズということで、近距離での描写性能には賛否有り。30cmまで寄れるので大いに活用したいところではある。

まとめ

星景写真を嗜む人にとっては貴重な信頼が置けるレンズとなりそうな14mm F1.4 DG DN｜Art。もちろん日中で使うぶんにも申し分なく、静音性に優れた駆動機構を採用しているので動画での使用にも適しています。他にはないF1.4の超広角というスペックを活かすのもよし。さまざまなニーズに答えられる超広角レンズとしていかがでしょうか。