製品解説
スペック
超大三元時代の到来を予感させるレンズ
今まで、何の疑問も持たずに開放F2.8通しの広角、標準、望遠ズームレンズを大三元レンズとして、ズームレンズの最高峰と崇めてきました。確かに、全ての焦点域で開放F2.8での撮影が可能で、シャープなピント面と背景に広がる豊かなボケはまさにプロの描写といえます。
そして、より明るいレンズが必要な場合は大口径単焦点を使えば良いということになります。CanonやNikonから発売された一眼レフ用ズームレンズはF2.8が最も明るいレンズだったので、それが当然だと思っていました。
しかし、それより明るいズームレンズがあったらどうでしょう。
RF28-70mm F2 L USM。一眼レフでは作れなかったF2.8より明るいレンズが、CanonミラーレスRFマウントでは可能となりました。実はフルサイズ一眼レフ用F2ズームレンズは、2015年にSIGMAから24-35mm F2 DG HSM | Artというレンズが発売されてはいます。
しかし、見ての通り、焦点域は24-35と標準域の半分もカバー出来ていません。それでも1kg超えの大口径レンズとなっています。
F2通しの一眼レフ用24-70mmを作ろうとすると非現実的な口径と重量になってしまうのです。一方で、ミラーがなくなり、イメージセンサーとマウント面までの距離が短くなったミラーレス一眼ではそれが実現可能となったのです。
RF28-70mm F2 L USMは確かに約1.4kgという重量級レンズであり、フィルター経も95mmという超大口径と言えるレンズではありますが、単焦点を複数持ち歩くことに比べると十分実用的なサイズ感と言えます。
カメラマンが最も恐れることは何でしょう。それはシャッターチャンスを逃してしまうことです。ズームレンズは、レンズ交換の手間を省くことで、刹那的に訪れるシャッターチャンスに最適な画角で撮影することができます。
そのために開放の明るさというのは単焦点レンズに比べると犠牲となってきましたが、ついにF2という明るさまで到達しました。Canonはすでに14-28mm F2というレンズの特許も取得しており、ミラーレス時代の大三元はF2通しとなることが予見されます。
単焦点は不要?
先程も書きましたがズームレンズはレンズ交換の手間を省くためのレンズです。単に描画力を追求するのであれば各焦点距離に最適化された単焦点レンズを選ぶべきです。
レンズ交換の時間がない撮影、レンズ交換せずにリズムよく撮影したい場合などに選択されるのがズームレンズです。これは開放F2.8の大三元ズームでも同じで、時間的余裕のある撮影なら単焦点レンズがベストです。
では、超大三元RF28-70mm F2 L USMならばどうでしょう。もちろん、F1.4やF1.2などの明るさが必要であれば単焦点しか選択肢はありません。しかし、F1.8の単焦点を使うのであれば、1/3段しか明るさが変わらないRF28-70mm F2で十分でしょう。
RF28-70mm F2 L USMは単に明るいズームレンズというだけでなく、その描画力も単焦点に迫るものがあります。従来の大三元と比較すると1段分という明るさだけでなく描画力も1段違います。
大口径ということで周辺光量落ちに若干の弱点がみられますが、フレアやゴーストは少なく、各種収差もよく抑えられています。開放で撮影しても、単焦点との違いは感じさせない、高い描画力があります。
様々なシチュエーションで様々な焦点距離、明るさを
RF28-70mm F2 L USMは「L」の文字からわかるように高い描写力だけでなく、高い信頼性も備えています。防塵防滴性は当然ですが、ズーミング時に延びる前玉部分にはダンパーユニットがあるので万が一前玉部分をぶつけてしまったときも被害を最小限に抑えてくれます。
28-70mmという標準域の焦点距離で開放F2という明るさで、様々なシチュエーションで画角と絞りを自在に変化させながら行う撮影にぴったりのレンズです。
40万円近い価格のレンズなのでプロ向けレンズとされがちですが、その堅牢性と利便性を考えると、アマチュアでも複数の単焦点の代わりにこの1本を選ぶという選択肢は十分にあります。
撮影にあわせて、最適な画角と絞りを選ぶ能力が磨かれるレンズとなります。
作例紹介
Canon EOS R / RF28-70mm F2 L USM
天体撮影でも単焦点に負けない画質で、画角も変えられる利便性は大きなメリットです
ボケ描写も柔らかく、玉ボケも綺麗です
動き回る子供を単焦点で撮影したかのような描写で捉えることができます
シャボン玉にピントを併せ、背景を美しくボケさせる描写は見事です
やや広角端が長めですが風景撮影でも使える画角です
ユーザーレビュー
■ ポジティブレビュー
- EF24-70F2.8LIIも良いレンズだが、それとは頭一つ抜き出た描画力
- このレンズのためにCanonを選ぶに値するレンズ
- 価格に見合う価値を十分に感じさせてくれる
- イベント撮影ではこのレンズ以外の選択肢はない
- 開放から十分使える画質で、等倍で確認しても満足の画質
やはりその解像力の高さは絶賛の嵐です。大三元を超えるレンズとして十分な性能があります。
■ ネガティブレビュー
■ ネガティブレビュー
- レンズマウントが心配になるほどの重さ
- 常に装着するとカメラを持ち出すのが億劫になってしまう
- AF時に駆動音がするので動画では注意が必要
- 純正ストラップでは重すぎて持ち運べないので注意
- 手ブレ補正がないのでEOS RとRPでは注意が必要
常に持ち運びたいレンズですが、重量級レンズなので覚悟や筋トレは必要なようです。
まとめ
ミラーレスカメラの登場で一眼カメラ新時代と言われていますが、一体何が新しくなるのかいまいち実感がないという人もいるのではないでしょうか。そんな中で大三元レンズが1段明るくなって新しくなるというのは大きなインパクトなのではないでしょうか。
RF28-70mm F2 L USMはそんな新時代を象徴する1本であり、撮影現場で新たな可能性を見出すことができる1本でもあります。
基本仕様 | |
---|---|
対応マウント | Canon RFマウント |
フォーカス | AF/MF |
フルサイズ対応 | ○ |
APS-C専用 | - |
レンズ構成 | 13群19枚 |
絞り羽根枚数 | 9枚 |
焦点距離 | 28-70mm |
最短撮影距離 | 39.0cm |
最大撮影倍率 | 0.18倍 |
開放F値 | F2.0〜22.0 |
画角 | 75~34度 |
手ブレ補正機構 | - |
防塵 | ○ |
防滴 | ○ |
サイズ・重量 | |
最大径×長さ | 103.8x139.8mm |
重量 | 1,430g |
フィルター径 | 95mm |
発売日 | |
発売日 | 2018年12月20日 |
製品情報
- カテゴリ
- ズームレンズ
- メーカー
- Canon
- タイプ
- 標準
- マウント
- Canon RFマウント
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価格 | 新品:629,486円〜 中古:375,860円〜 | 新品:335,500円〜 中古:275,000円〜 | 新品:163,980円〜 中古:145,000円〜 | 新品:63,985円〜 中古:37,800円〜 |
焦点距離 | 28-70mm | 24-70mm | 24-105mm | 24-105mm |
F値 | F2.0〜22.0 | F2.8〜22.0 | F4.0〜22.0 | F4.0〜22.0 |
絞り羽根枚数 | 9枚 | 9枚 | 9枚 | 7枚 |
手ブレ補正 | - | ○ | ○ | ○ |
重量 | 1,430g | 900g | 700g | 395g |
発売年月 | 2018年12月 | 2019年09月 | 2018年10月 | 2020年04月 |
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