製品解説
スペック情報
一本でも小三元
広角、標準、望遠でF2.8通しの3本のレンズをよく大三元と称したりしますが、それに対し、F4通しのレンズは小三元などと呼ばれます。
RFマウント最初の小三元レンズは、24-105mmという焦点距離となりました。F2.8やF4など、F値が焦点距離で変動しないズームレンズは、明るさをキープするために高倍率の設計が難しくなりますが、24-105mmというズーム倍率はF4通しで撮影出来るギリギリの倍率。24-105mmはレフ機レンズとしても、CanonやNikon、サードパーティ製などで発売されており、F4通しというフルサイズのボケ感を活かせる明るさと、高倍率という使い勝手の良さで人気のレンズとなっています。
大三元レンズは15mm~200mmの焦点距離を3本のレンズでカバーしますが、24-105mmは1本でその内の広角から中望遠までカバーでき、超広角や望遠などの特別な用途を除けば、ほとんどの撮影をカバーできる焦点距離といえます。まだまだレンズラインナップが乏しいRFマウントでは、まずこの「RF24-105mm F4L IS USM」というレンズを購入することで、効率よくレンズを揃えていくことができるでしょう。
RFレンズのラインナップには高価格帯のレンズが多い中で、10万円台という比較的手の出しやすい価格に抑えられているのも魅力的で、フルサイズミラーレス機購入時でも同時購入しやすくなっています。尚、EF24-105mmは5Dシリーズのレンズキットとしても発売されているので、RF24-105mmもレンズキットにして欲しいところです。
EFとは似て非なるレンズ
「EF24-105mm F4L IS II USM」はレフ機用、「RF24-105mm F4L IS USM」はミラーレス機用という点以外は、スペックを見る限り同じ様に思えます。
しかし、この2本は焦点距離以外、別物のレンズと考えて良いでしょう。
RF24-105mmの外見は撮影距離表示用の小窓が無くなり、ボタン類もシンプルにまとめられています。撮影距離情報などはEVFで自由に表示できるため、レンズに搭載する必要がなくなったのです。また、ミラーレスの特徴ともいえるショートフランジバックによって後玉径が大きくなったことで、EFよりも後端部が太くなり、ボタン類が突出していないスッキリとしたデザインに。一方、コントロールリングが新たに搭載されたことで、ピントリングとズームリングが接近しています。
しかし、こういった外見は副次的なもので、ショートフランジバックによる大きな恩恵を受けているのは描画性能です。高倍率ズームレンズでは広角側で歪曲収差が大きくなりがちですが、RF24-105mmでは、24mmで撮影しデジタル的な補正に頼らなくても歪曲は気になりません。この、極力自動補正などに頼らずレンズ設計で収差を解決する技術はCanonが他社をリードしており、業界トップたる所以の1つともいえる高度な技術です。
解像力は24mmから105mmの全域において、F4の開放で撮影してもほぼ問題ありません。望遠端ではF8程度まで絞らないとベストな解像力となりませんが、EF24-105mmと比べれば「格が違う」といえるほど描画力に差があり、”RFマウントのメリットを活かし、生まれ変わった24-105mmレンズ”といえるでしょう。
他のRF高級レンズと比較
RF24-105mmは、RFマウントの中でどのような立ち位置なのでしょう。大三元ラインナップのコンプリートや、その周辺の明るい単焦点レンズの拡充に開発のウエイトが置かれているRFマウントの中で、RFマウント初期に標準ズームの選択肢として発売されたのが「RF24-105mm F4L IS USM」。
当然ですが、大三元や「RF85mm F1.2 L USM」などの超高級レンズと比較すれば描画のシャープさなどで劣りますが、それはあくまで他のレンズの出来が良いだけの話で、RF24-105mmでもレフ機レンズからの進化を十分に感じることができます。
何かに特化して撮影するのであれば単焦点などが選択肢になりますが、フルサイズミラーレスでいろいろな撮影に挑戦したいというのであれば、RF24-105はまさに万能であり、他のRFレンズと比較すればコストパフォーマンスも高いレンズとなっています。
おすすめの撮影シーン
高倍率かつF4通しという「RF24-105mm F4L IS USM」には、苦手な撮影シーンというものは特にありません。屋外、屋内、広角風景から中望遠でのスナップなども楽しめます。
ナノUSMによる高速かつ安定したAFは動画撮影でも威力を発揮し、まさに万能レンズ。様々なシーンで積極的に活用したいレンズです。
ネット上のユーザーレビュー
■ポジティブレビュー
- 驚きはなくても満足の1本
- AFがかなり静かで動画に使いやすい
- 開放F4からAFや画質を気にせずに撮影できる
- 初代EF24-105に匹敵、寧ろそれ以上の写り
- EOS Rの性能を引き出すには必要かつ十分な性能
基本的には”便利”なレンズだという高評価が多く見られました。
■ネガティブレビュー
- スイッチ類が小さすぎて操作性に難あり
- コントロールリングをピントリングやズームリングと間違える
- EFとの差10mmは誤差と思えるほど、携帯性のメリットは少ない
- 最短撮影距離が長く、あまり寄れない
- 距離表示が無くなったのはちょっと残念
ボディサイズと今までとは違う操作系のギャップに戸惑うユーザーが多少なりともいる様子です。
まとめ
「RF24-105mm F4L IS USM」はRFラインナップの中では比較的手頃、とはいえ発売価格10万円超えのLレンズ。その描画力は折り紙付きです。
ミラーレスのショートフランジバック化による恩恵を受け、同じ焦点距離のEF24-105とはひと味もふた味も違う性能となっており、フルサイズミラーレスとレフ機の違いを体感するにはマストバイのレンズとなっています。
基本仕様 | |
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対応マウント | Canon RFマウント |
フォーカス | AF/MF |
フルサイズ対応 | ○ |
APS-C専用 | - |
レンズ構成 | 14群18枚 |
絞り羽根枚数 | 9枚 |
焦点距離 | |
最短撮影距離 | 45.0cm |
最大撮影倍率 | 0.24倍 |
開放F値 | |
画角 | 84~23.2 度 |
手ブレ補正機構 | ○ |
防塵 | ○ |
防滴 | ○ |
サイズ・重量 | |
最大径×長さ | 83.5x107.3mm |
重量 | 700g |
フィルター径 | 77mm |
発売日 | |
発売日 | 2018年10月25日 |
製品情報
- カテゴリ
- ズームレンズ
- メーカー
- Canon
- タイプ
- 標準
- マウント
- Canon RFマウント