TAMRON 90mm F/2.8 Di III MACRO VXD [ソニーE用]

伝説のタムキューがミラーレスに登場

初代タムキューが発売されたのが1979年。そこから45年が経ち、最新のタムキューが2024年10月に発売されます。

TAMRON 90mm F/2.8 Di III MACRO VXD。Di IIIの型名からわかる通り、初のミラーレスに対応したタムキューとなりました。初代タムキューは、解像力が注目されがちなマクロレンズという分野において、ボケ味を追求したマクロレンズという意外性で人気のレンズとなりました。

もともと、マクロレンズは学術資料撮影や文献複写といった目的で使用されるレンズだったので歪曲収差の少なさと、ピント面の解像力の高さが求められる特殊なレンズでした。比較的高価で用途も限定されていることからあまり人気のレンズではありませんでした。

しかし、TAMRONは一般的な中望遠レンズの光学系を元に、近距離撮影に対応できるレンズへと従来とは違う形でアプローチをしてSP 90mm F/2.5が誕生しました。その結果、従来のマクロレンズとは一味違った柔らかでシャープな描写がカメラマンを魅了し「タムキュー」の愛称と共に伝説がスタートしました。

その後、タムキューはAFに対応したり、等倍化したりと進化を続け、2004年にデジタル一眼に対応。そして2024年にミラーレス一眼に対応し90mm F/2.8 Di III MACRO VXDが発売されました。

ミラーレス版タムキューは全長126.5mm、重量630gと他社の中望遠マクロレンズに比べてコンパクトな作り。フィルター径は67mmなので比較的手に入りやすく、他のレンズとも共有しやすいフィルター径です。

また、付属のレンズフードにはスライド窓が新設されているので、PLフィルターなどの回転式フィルターを装着した場合も、フードを取り外したりすることなく、素早く、リズムを保って撮影できます。AF速度もVXD、リニアモーター駆動なので純正レンズと遜色ない、ストレスのないピント駆動となっています。

もちろん、瞳AFなどの追従AFにも対応しているので、マクロ撮影以外の撮影でも非常に使い勝手の良いレンズです。フォーカス面でいうと、ピントリングの可動性にもこだわって設計されており、何度も試作を重ねてベストな粘度のグリスが選択されたリングは操作感良好。MFでピント合わせをすることが多いマクロ撮影でも、長時間ストレスなく操作できます。

伝統のタムキューを、ミラーレスマウントに合わせてコンパクト化。さらに、最新のAF駆動方式や細かなブラッシュアップによってさらなる使い勝手の良さへと進化したタムキューが90mm F/2.8 Di III MACRO VXDです。

タムキューらしい光学性能

ミラーレス版タムキューも、もちろんタムキューらしい光学性能を継承しています。

90mmマクロレンズらしく、歪曲収差はほぼ０に抑えられています。倍率色収差、軸上色収差もほぼ０。色再現性が非常に高く、色調整することなく忠実に被写体の色を再現してくれます。ここまではまさにマクロレンズらしい性能といえます。

そして、タムキューらしさとしては、やはりボケの美しさ。12枚の絞り羽によって生まれる玉ボケは美しい円形を描き、輪郭の色付きもない非常に美しい玉となります。また12枚という偶数の絞り羽根は美しい光芒を描くので、夜景でも活用可能。逆光耐性も良好なので、屋外での様々な撮影にも対応できます。

もちろん後ボケの美しさももちろん健在で単にマクロ撮影だけでなく、中望遠レンズが活躍するポートレート撮影でも活躍できる、まさにタムキューらしい光学性能となっています。

また、フォーカスブリージングが少ないという点も注目で、動画撮影でも活用できます。AFモーターは動画撮影時にノイズの入りにくい、静音性の高いVXD。動画撮影の利用も多いミラーレス一眼用レンズということで、動画にも配慮された設計となっています。

最新のタムキューの光学性能は、従来同様に、シャープなピント面と柔らかで美しいボケを持ち、さらに動画撮影にも活用できるなど汎用性の高いレンズとなっています。

ユーザーレビュー

■ ポジティブレビュー

• ポートレートでも使えるというのはさすがタムキュー
• 各世代、新発売の度に順当に進化していて素晴らしい
• やはりコスパ最強のマクロレンズ
• お散歩レンズとしても使える万能マクロ
• 純正のマクロは発売が古いので、最新のレンズが発売されるのは嬉しい

タムキューファンからの熱い高評価の声が多くみられました。

■ ネガティブレビュー

• 絞り値によっては口径食のようなものが見られるところが気になる
• TAMRONレンズは簡易防滴が多く、屋外でどこまで耐えるか心配
• 確かに小さくはなっているが、コンパクトとまではいえない大きさ
• 手ぶれ補正なしというのがちょっと残念
• 等倍ではなく2倍マクロなど、純正とは違ったアプローチをしてほしかった

正統進化ということで、ミラーレスマウントレンズらしさを求める声がありました。

まとめ

ついに発売された、ミラーレス版タムキュー、TAMRON 90mm F/2.8 Di III MACRO VXD。伝統を引き継いだ、タムキューらしい光学性能を高画素ミラーレス機に対応できる高い解像力へと進化させました。

マクロ撮影はもちろん、ポートレートでも使える柔らかで美しいボケを兼ね揃えている点はタムキューの伝統といえます。さらにポートレートだけでなく、夜景も撮りたくなるような、12枚の絞り羽による真円の玉ボケや、バランス良く広がる光芒。

AF速度も純正レンズに迫る性能で、汎用性の高いマクロレンズとは思えないバランスの高さがさすがタムキューと思わせるレンズです。