SONY VLOGCAM ZV-E1

フルサイズセンサー搭載の究極のVLOGCAM

VLOGCAM ZVシリーズは、「VLOGCAM」の名の通り、動画撮影に主眼をおいたカメラです。デジタル一眼が動画も撮れるスチールカメラであることに対して、VLOGCAMはスチール撮影もできる動画機といった位置付けです。

ビデオカメラは動画専用機なので、スマホのカメラを別とすれば最も気軽に動画撮影ができるカメラです。ビデオカメラは長時間録画が可能だったり、片手で持てるコンパクトサイズながら高倍率ズームができたり、マイクが大きく高性能といったメリットがあります。

一方、一眼カメラの場合は、ビデオカメラよりも大きく、高価なものが多く、画角を変える場合にレンズ交換が必要というデメリットがあります。また、カメラによっては動画の連続撮影時間が30分に制限されているものもあり、どうしてもスチール撮影の補助的に動画撮影をするというスタイルになります。

しかし、一眼カメラでは、レンズ交換によってビデオカメラよりも幅広い画角に対応できたり、何よりイメージセンサーが大きいので画質が良いというメリットがあります。

そんなビデオカメラの良さと一眼カメラの良さを集約したものが VLOGCAM ZVシリーズです。

最初に発売されたZV-1では1インチと、通常のビデオカメラでよく使われる1/2.5型よりも大きなイメージセンサーでしたが、次に発売されたZV-E10ではAPS-Cイメージセンサーと一眼カメラで使われるイメージセンサーサイズになりました。またSONY Eマウントを採用したことで、SONY αシリーズの交換レンズを使って撮影することが可能になりました。

そして今回発売されたVLOGCAM ZV-E1ではフルサイズイメージセンサーを採用し、動画もスチールも他のミラーレス一眼、SONY αシリーズと同等に撮影できる究極のVLOGCAMとなりました。

フルサイズVLOGCAMの魅力とは

SONY VLOGCAM ZV-E1は今までのVLOGCAM ZVシリーズでは、1インチやAPS-Cサイズだったイメージセンサーを、フルサイズとしたことが特徴のカメラ。動画撮影においてフルサイズイメージセンサーを使うメリットはどういったものがあるでしょう。

イメージセンサーが大きいということは、それだけ多くの光をイメージセンサーに当てることができます。そのため、小さなイメージセンサーでは反応できないような僅かな光の違いも捉えることができます。

簡単に言うと、小さなイメージセンサーでは黒つぶれしてしまうような暗い場所でも大きなフルサイズセンサーならより細部を描き出すことができます。

また、多くの光を取り込んで描き出された被写体は、ピント面がシャープで、背景は大きくボカすことができます。レンズの絞りを大きくすることで、背景のボケ量を小さくすることはできますが、ボケを大きくするにはレンズのF値を小さいものにするか、イメージセンサーの大きなカメラにすることが必要です。フルサイズのイメージセンサーを使うことで、まるで映画のようなクオリティの動画撮影が可能となります。

もちろん静止画、スチール撮影性能も十分で、画素数が1,200万画素と控えめで、電子ビューファインダーEVFが非搭載であることを除けば、α7シリーズと同様の感覚で撮影できます。

VLOGCAM ZV-E1の進化とは

ZV-E1はフルサイズセンサーを搭載したことで、他のZVシリーズよりも一回り大きくなっています。ただし、イメージセンサーの違いほどはサイズアップしていない印象で、フルサイズ一眼として考えると驚異的な小ささと言えます。

操作系は従来のZVシリーズを踏襲していますが、スライドスイッチが3段階になっていたり、カスタムボタンが増えていたりと細部に改良がみられます。ZVシリーズでお馴染みのマイク風防、通称「モフモフ」も質感が変わっていて、改良点となっています。

動画性能はフルサイズセンサーの性能をフルで活かす、全画素読み出しの4K/60p撮影が可能で、その後のアップデートで4K/120pに対応可能。

撮影機能としても、Logで撮影してカラーグレーディングするという本格的な撮影から、「S-Cinetone」や「シネマティックVlog設定」によって、簡単にシネマライク画質の撮影することもできます。

また、大きなフルサイズイメージセンサーは電子手ブレ補正でもメリットを生みます。ZV-E1は光学式の5段分の効果が得られる手ぶれ補正機能を搭載していますが、これに電子手ぶれ補正を組み合わせることでさらに高い補正効果を得ることができます。「ダイナミックアクティブ」補正は画角が狭くなりますが従来のZVシリーズよりも大きな補正効果が得られます。

また「フレーミング補正」という新機能も追加されています。フレーミング補正をつかうことで被写体を画面を特定の位置に安定してフレーミングすることが可能です。

さらにオートフレーミングを使うことで、さらに被写体の移動にあわせてちょうどいいフレームに切り出すことも可能。難しい動画撮影も簡単操作で撮影できます。

まずはキットレンズから

VLOGCAM ZV-E1にはFE 28-60mm F4-5.6というキットレンズが付属します。もし既に、Eマウントレンズを複数所持しているならば、このキットレンズは不要ですが、もし持っていないのであれば、キットレンズを購入することがおすすめです。

キットレンズでの有無で価格差は3万円ほど。フルサイズ一眼のレンズは10万円を超える高価なものが多いので、この価格差で標準画角のレンズが手に入るというのは大きなメリットです。

また、F4-5.6という開放の明るさも、フルサイズセンサーであれば十分なボケ量を得られるので、一眼動画撮影の最初の1本として十分な性能のレンズです。

ただし、広角端が28ｍｍということで手持ちで自撮りをするには少々画角が狭めです。手持ちで自撮りをするには20mmぐらいの焦点距離がベストとなるので、まずはキットレンズを手にしたあとに、広角の単焦点レンズなどを購入すると良いでしょう。

ユーザーレビュー

■ ポジティブレビュー

• ズームボタンの位置など、操作性が良くなった
• 小さなカメラボディはジンバルとの相性も良
• フルサイズ一眼がここまで小型であるということは驚異的
• α7SⅢより10万円も安いので価格的には納得
• カメラ任せでクオリティが高い映像を得られる

手軽にプロクオリティの動画が撮れるという点に魅力を感じる多くの声がありました。

■ ネガティブレビュー

• カードスロットがシングルというのが物足りない
• 温度設定を「高」にしないとオーバーヒートが意外と早くくる
• VLOGで使うには価格が高く、プロユースとしては性能が物足りない
• 他のZFより一回り大きいとはいえ、ホールド感は良くない
• EVFがあれば文句なしだった

Vlogに特化したカメラだけに、用途によっては不満が出てしまう部分はあるようです。

まとめ

SNSの浸透で、ハイクオリティな動画撮影ということはプロカメラマンだけではなく、動画ブロガーが撮影する場合にも求められるようになりました。

SONY VLOGCAM ZV-E1は手軽にかつ、プロクオリティのVlog撮影を可能とするカメラ。従来のVLOGCAM ZVにあった、手軽な撮影機能とコンパクトさを継承しつつ、フルサイズイメージセンサーを搭載したことで、階調性の高い描写と大きなボケでシネマライクな撮影が可能となりました。

ビデオカメラやアクションカムなどでの動画クオリティから、更に一歩踏み込んだ高いクオリティ動画を求めるユーザーを満足させるカメラです。