Voigtlander ULTRON 27mm F2［フジフイルムX用］

明るさとコンパクトさを両立させたVoigtlander伝統のレンズ

Voigtlanderとは、オーストリア創業の最古のカメラメーカー。現在はブランド名として残り、長野のサードパーティレンズメーカー・コシナが製造販売しています。ULTRONは、そんなVoigtlanderが生み出したレンズシリーズの一つ。主に、開放F値がF2前後の明るさを有したダブルガウス型のレンズにその名が付けられ、今でもその伝統に沿ったつくりとなっています。

今回紹介するULTRON 27mm F2は、35ｍｍ換算で40mmという焦点距離でパンケーキスタイル。これは一眼レフ用としてリリースされていた、今のスタイルになる前のULTRON 40mm F2 SL IIシリーズを踏襲しているものと思われ、APS-C仕様によってより薄くなって、さらにパンケーキレンズらしいスタイルに仕上がっています。

重さ120g、長さ23.5mmというレンズキャップ並のボリューム感。AF非搭載のMFオンリーという仕様がこのサイズ感を実現させているのでしょう。レンズ内手ぶれ補正も非搭載ですが、比較的明るめのF値を利用してシャッタースピードを稼いだり、ボデイ内手ブレ補正付きの機種と組み合わせれば大きな問題にはなりません。

Xマウント純正でほぼ同スペックのXF27mmF2.8 R WRというレンズがラインナップされています。こちらは、全長はほぼ同じ23mmで、重さは84gとさらに軽く、AF機能も搭載されています。ULTRON 27mm F2にアドバンテージがあるとするなら、1/3段明るいF値と最短距離の短さ。25cmまで寄れるので、F値を活かした撮影が可能。テーブルフォトにも役立ちそうです。

MFレンズの面白さを存分に堪能できる

軽くて薄いレンズとなっているULTRON 27mm F2ですが、VoigtlanderブランドのMFレンズらしい質感は健在です。精巧に形作られた金属製のヘリコイドユニットと高品質のグリースを採用することで、適度に重みを持たせたなめらかな動きでシビアなピント合わせを可能に。フォーカスリングがマウント側にあって一見操作がしづらそうにはみえるものの、一部指がかりの良い形のフォーカスレバーを設けて操作性をカバーしています。

Xマウント専用設計になっているので、FUJIFUILMにマッチした絵作りとなっているほか、電子接点も搭載されているので、カメラに搭載されているマニュアルフォーカスをカバーする機能も使用可能。レンジファインダースタイルのカメラと組み合わせたときのパララックス補正にも対応しているので、気兼ねなくXマウントシリーズのどの機種とも組み合わせられます。

愛用者のコメント

最初に申し上げます。

このレンズ見た瞬間一目惚れで買いました笑。

パンケーキスタイルのULTRON 27mm F2、非常に趣味性が高く持っていてワクワクするレンズです。フジツボ型のレンズフードとねじ込み式のレンズキャップ、共に金属製になっており所有欲を満たしてくれます。

ULTRON27mm F2とFUJIFILM Xマウントのカメラでしたらどの組み合わせでも思わずにやけてしまうヴィジュアルになることでしょう！

肝心な使用感なのですが、このレンズマニュアルフォーカスになってますのでフォーカスは自分で合わせる必要があるのですが、このピントを合わせるという行為がすでに楽しいです。

金属製ヘリコイドがもたらす適度にしっとりねっとりしたなんとも言えないトルク感。オートフォーカスでは味わえない気持ち良さがあります。

ただし、パンケーキスタイルのコンパクトな作りなため多少の慣れは必要かと思います。が、たいしたデメリットでも無いと思います。

描写は解放からパキパキと言うほどではないですが必要にして充分な解像度はあります。NOKTONクラシックのようなふんわりとしたオールドレンズライクな写りではなく、いわゆる現代的な写りかなと思います。さまざまなフィルムシミュレーションを使って撮影した写真はどれも惚れ惚れする描写だと感じました。

コシナさん本当に良いレンズを造ってくれます！Ｘマウントユーザーのみなさまに是非一度は使って頂きたいレンズです！

ユーザーレビュー

■ ポジティブレビュー

• 開放から適度な解像感と階調の良さが魅力
• 携帯性抜群なので質感も良い
• 電子接点のおかげでMF撮影が苦にならない
• 純正よりも9cmも寄れるのは大きい
• ボケ味も及第点

携帯性の高さと、そのボリュームからは想像できない写りと表現の良さが高く評価されています。

■ ネガティブレビュー

• フォーカスリングの位置と形が特殊なので、なれるまでに少しかかる
• 専用キャップは質感重視で使いやすくはない
• 防塵防滴ではない

フジツボタイプのフード自体は全長が伸びにくくて評判も良いが、フードキャップがねじ込みタイプで、付け外しを頻繁にする人には煩わしいかもしれません。

まとめ

かつて一眼レフ用レンズとして人気のあったパンケーキ型ULTRONレンズの再来となったULTRON 27mm F2。以前の一眼レフ用のレンズは近接撮影を専用のクローズアップレンズでカバーしていましたが、このレンズはそのままで充分な近接性能をもち、電子接点も有しているので、ストレス無くMFレンズによる撮影を楽しむことができます。速射性ではなく、じっくり被写体と向き合える常用レンズとしてオススメです。