Voigtlander NOKTON 35mm F0.9 aspherical [フジフイルムX用]

F1.0を超えた明るさを誇る、特別な標準域単焦点レンズ

オーストリア創業の最古のカメラメーカー・Voigtlanderの名を冠したCOSINA製レンズ、NOKTON 35mm F0.9 aspherical。“NOKTON”とは、Voigtlanderが手掛けたレンズシリーズのうち、開放F値がF1.5以上の明るいダブルガウス型の大口径レンズのことを指します。

F1.0よりも明るいレンズは非常に稀有な存在で、現行のメーカー純正レンズとしては、Nikon製NIKKOR Z 58mm f/0.95 S Noctと、Leica製ノクティルックスM F0.95/50mm ASPH.のみ。基本的にはサードパーティレンズメーカー製で、その多くをCOSINAが手掛けています。

COSINAのアンダーF1.0レンズといえば、マイクロフォーサーズ用として展開されたF0.8 〜0.95のレンズシリーズが有名。F値の明るくすることで、センサーが小さいことによるデメリットであるボケ味の少なさを補うことができます。

NOKTON 35mm F0.9 asphericalにおいては、マイクロフォーサーズよりもボケやすいAPS-C用レンズということで、フルサイズセンサーと同等かそれ以上のボケ味を生み出すことが可能です。加えて、非球面レンズを採用して、描写性能も補填。元来NOKTONシリーズは、明るいぶん開放付近での絵作りに癖があるものが多いですが、NOKTON 35mm F0.9 asphericalは、開放から中心部分の描写性能が高く、メリハリの効いた絵作りを楽しむことができます。

高品質な造りで、シビアなピント合わせもスムーズ

明るいレンズであることの最大のネックはピントの薄さ。NOKTON 35mm F0.9 asphericalはMFのみなので、手動でピントを合わせないといけませんが、高精度の加工と調整が行われたヘリコイドユニットと高品質グリースによってシビアなピント合わせを可能に。

加えて、Xマウント専用設計ということで電子接点が設けられているため、カメラ側の機能もしっかり活用できます。ピント面が見えるピーキング機能や手ぶれ補正、パララックス補正にも対応するため、手持ちでも打率良く開放F値による写真を撮ることができます。

12枚の絞り羽根で、ボケを活かした絵作りも可能。35mm換算約53mmの焦点距離としては充分な約35cmという最短撮影距離で、クローズアップ写真もよく映えます。

ユーザーレビュー

■ ポジティブレビュー

• 開放でもふんわりとせず、色乗りが良い
• 圧倒的な立体感のある写真は撮れて感動できる
• 作りがいい
• 期待以上の描写性能

ピントを合わせた部分んキレがいいので、強いボケと相まって非常に立体感を感じられる写真に。何気ないものも特別に写ってくれると高評価

■ ネガティブレビュー

• 高い
• ピント合わせが難しい

Voigtlanderシリーズとしては高額な部類のレンズ。操作性はいいですが、ピントの山を掴むには少々練習が必要なようです。

まとめ

NOKTONシリーズの中でも現代的な写りで使いやすいNOKTON 35mm F0.9 aspherical。日中の撮影で開放を使いたい場合にはかなり早いシャッタースピードが必要となるので、電子シャッターや、NDフィルターを活用しましょう。口径も62mmと小さめなので比較的安価に済みます。

1本は持っておきたい標準域の単焦点レンズとして充分オススメ。常用レンズとしてだけでなく、ここぞという時の“伝家の宝刀”としても役立ってくれるでしょう。