FUJIFUILM XF8mmF3.5R WR

常用レンズになりえる超広角レンズ

35mm換算でおよそ12mm相当の画角となるXF8mmF3.5R WR。Xシリーズの単焦点レンズでは最も広角のレンズにあたりますが、ズームレンズではすでに大三元レンズのXF8-16mmF2.8 R LM WRが最広角の8mmを実現。F値もF2.8と1/3段とはいえ明るいので、XF8mmF3.5R WRの存在価値にいささか疑問を持つ人もいるかもしれません。

ただ、そんなXF8-16mmF2.8 R LM WRは前玉が出っ張ったいわゆる出目金タイプのレンズ。屋外撮影では行いたくなるフィルターワークをおいそれとできないというデメリットがあります。 その点XF8mmF3.5R WRは出目金タイプでないことに加えて、φ62mmという標準的なサイズなので、フィルターワークでさまざまな表現に挑戦することができます。

また広角の大三元レンズは、自由に画角を変えられる便利さと描写力を兼ね備えているぶん大きく重い。主戦場である屋外撮影に持ち出すのが億劫に感じてしまうボリューム感です。屋外撮影を生業にしているプロカメラマンならまだしも、景色やスナップ撮影を気軽に楽しみたいアマチュアカメラマンであればなおさら。レンズが大きく露出した出目金タイプであることや、超広角という画角の扱いにくさもさらに使用頻度が減る要因になってきます。

それに比べてXF8-16mmF2.8 R LM WRの重さは215g。XF8-16mmF2.8 R LM WRのおよそ1/4にしかありません。長さも52.8mmと短く、コンパクトでクラシックなスタイルのXシリーズのカメラと組み合わせてもバランスが良いのもポイント。持ち出しやすいスタイルであることによって、難易度の高い超広角域の撮影にも挑戦しやすくなります。

超広角レンズに必要不可欠な要素は徹底網羅

非球面レンズ3枚、EDレンズ2枚を使った贅沢な構成で収差を抑え、広角レンズに必要な全面的に平滑で解像度の高い絵作りを実現。単焦点レンズならではのメリットといえます。また、画角が広いことで受けやすい環境光の影響もカバー。コーティングによってフレアやゴーストへの耐性も充分持ち合わせています。

近接撮影にも長けていて、最短距離はセンサーから18cmのレンズ先端ギリギリレベル。被写体を手前に置いて大きくパースをかけたダイナミックな絵作りが可能。インナーフォーカスでAF速度も早いので、遠・近の撮影の切り替えもスムーズに行えるでしょう。

F8に設定すれば、36cm〜無限遠までピントがくっきり見えたパンフォーカス撮影も楽しめます。12mmという超広角域が映し出す高解像度で情報量の多い光景をインスピレーションのままにどんどん写真に収めて、新たな世界観の構築を目指してみてはどうでしょうか。

愛用者のコメント

元々中望遠をメインで使っていましたが、撮影の幅を広げるため広角の使用率を上げていた矢先にXF8mmF3.5R WRが発売となり、未知の領域となる8mm(フルサイズ換算12mm)という超広角域への興味もあり購入。

ファインダー越しに見える広い視界と傾けたときのパースは他のレンズでは味わえない魅力があり、超広角ならではのダイナミックな画に慣れると他のレンズでは物足りなさを感じてしまうかもしれません。

ここまで画角が広いと使える場面は限られて来ると思いきや、X-T5との組合わせではレンズの高い解像度もあってクロップ耐性も高いので、用途を割り切ればひとまず撮っておいてなんて使い方もできる為、とりあえず忍ばせておくと思わぬ活躍の場面があるかもしれないレンズです。

忍ばせておくのも容易なコンパクトサイズなのと、角フィルター付けてもケラレなく使えるのもいいですね。

ユーザーレビュー

■ ポジティブレビュー

• 絞りリング付きでお馴染みの操作感
• 非常に軽くて手軽に忍ばせられるボリューム感
• シャープでクリア、メリハリの効いた画作り
• 解像力は大三元以上
• 防塵防滴性能が搭載されている

サイズ感と描写力の高さにだれもが太鼓判を押している印象。防塵防滴性能搭載もレンズの性質上見逃せない要素です

■ ネガティブレビュー

• F値が暗め
• 比較的ゴーストが出やすい個体がある

F値の暗さが指摘されるものの、強いボケ味を使うような画角ではないので大きな問題とはいえなささそうです。

まとめ

それまで大三元ズームレンズでしか体験できなかった、35mm換算12ｍｍを実現したXF8mmF3.5R WR。軽くてコンパクトで解像も高く、挙動にも優れていて、防塵防滴耐低温構造搭載。XF8-16mmF2.8 R LM WRよりもリーズナブルというおまけ付き。超広角域を身近に感じさせてくれるレンズです。