Voigtlander NOKTON 50mm F1.2 [フジフイルムX用]

NOKTONを冠した明るさと、ボケ味に拘ったレンズ

まず最初に、Voigtlanderとは、オーストリア創業の最古のカメラメーカーであり、現在はブランド名として残って、長野のサードパーティレンズメーカー・コシナが製造販売しています。NOKTONとはそんなVoigtlanderが手掛けたレンズシリーズの一つで、開放F値がF1.5以上の明るいダブルガウス型の大口径レンズを指します。

ここで紹介するNOKTON 50mm F1.2は、F値や大口径であることこそNOKTONではあるものの、レンズ構成は左右対象なダブルガウスではなく、非対称のゾナータイプを採用しているのが特徴。さらに、非球面レンズを使用せずに全球面レンズとしているため、開放からF2.8までは収差を活かした独特な味わいの描写を楽しむことができ、それ以上絞ることで、シャープな絵作りも可能。使いこなしがいのあるレンズといえます。

中望遠でF1.2まで使えることに加えて、35mm換算75mmの中望遠レンズとしては近接性能に優れており、約0.39mまで寄ることが可能。とにかく大きくボカした絵作りが楽しめる仕様となっているため、それを活かすべく、絞り羽根を12枚とし、少々絞っても綺麗な丸ボケが作れるようになっているのも見逃せないポイントといえます。

F1.2の大口径レンズとしては破格のボリューム感

NOKTON伝統のダブルガウスタイプではなくゾナータイプを採用したことによって、F値明るめの大口径レンズとは思えないほどの小型・軽量化に成功しています。長さ49ｍｍ、重さ290g、フィルター径58mmというボリューム感に留まっており、近いスペックの純正レンズXF56ｍｍF1.2 R WRの長さが76mm、重さ445g、フィルター径67mmであることと比べると、かなり小型であることがおわかりいただけるはず。

製品	Voigtlander NOKTON 50mm F1.2 [フジフイルムX用]	FUJIFILM XF56mmF1.2 R WR
価格	新品: 79,900円 中古: 73,320円	新品: 135,000円 中古: 45,780円
焦点距離	50mm（35mm判換算：75mm相当）	56mm（35mm判換算：85mm相当）
F値	F1.2〜16.0	F1.2〜16.0
最短撮影距離	39.0cm	50.0cm
絞り羽根枚数	12枚	11枚
重量	290g	445g
発売日	2023/09/07	2022/09/29

表は左右にスクロールできます

NOKTON 50mm F1.2は純正レンズとは違いMFオンリーとはなりますが、Xマウント専用設計となっているため、センサーの性能を充分に発揮できますし、電子接点を搭載しているので、EXIFデータも残ります。当然、カメラに搭載されている機能を反映できるので、フォーカスアシストやボディ内手ぶれ補正も効いてくれます。

Voigtlanderレンズシリーズではお馴染みの高品質な作り。手に持ったときの質感はもちろん、ピントリングや絞りリングの操作性も非常にいいので、じっくりと被写体と向き合いながら、正確なピント合わせのもとに写真撮影を楽しむことができます。

ユーザーレビュー

■ ポジティブレビュー

• 他のレンズではなかなか出会えない繊細な写り
• 柔らかいボケ表現
• 軽くてハンドリングしやすい
• 操作性が滑らかで使いやすい

開放値付近での独特な絵作りを気に入った人にはとことん好まれるレンズといったところ。取り回しの良さも高評価。

■ ネガティブレビュー

• 描写の癖が強い
• 開放でのピント合わせが非常にシビア

逆にこのレンズのもつ絵作りが受け入れられない人からは厳しい評価。開放から高精細な高性能レンズを求めている人にはあまり向いてないレンズといえます。

まとめ

NOKTONシリーズ伝統のクセのある描写表現が楽しめるNOKTON 50mm F1.2。その表現力を使いこなして作品に活かすことができれば、他の人とは一線を画す一枚を生み出すことができるかもしれません。軽くて取り回しやすく、操作性が良くて、持ち出しやすいのもいいところ。

レンズサイズによってファインダーがケラれたりする、X-proシリーズとの組み合わせがおすすめですね。ここぞという時の伝家の宝刀として、カメラバックの片隅に忍ばせてみてはいかがでしょうか。