製品解説
スペック
Canonの懐の深さを体現するレンズ
中望遠の単焦点といえば、やはりポートレートで大活躍する85mmです。
100mmの単焦点は、開放F1.8や1.2のレンズとなると巨大となり、ポートレートでも若干長く使いにくいレンズとなります。また、望遠撮影をする場合、今度は100mmは遠くのものを引き寄せて撮影するには短めの焦点距離となってしまいます。
しかし、Canonのレフ機用EFマウントレンズラインには、EF100mm F2 USMという100mm単焦点があります。Lレンズのラインアップこそありませんが、無印とはいえあまり使用頻度の高くない100mmまで揃えているというのは、さすがCanonレフ機のレンズラインというところです。しかも、EF100mm F2 USMは非常に評価が高く、隠れLレンズとまで称されたりもします。
EF100mm F2 USMの発売は1991年ということで現行レンズとしては最古参レンズの部類です。使用頻度が高いレンズではないので積極的な更新は行われずに、最古参となってしまってはいますが、代わりのないレンズということで今でもラインアップされています。
また、100mm単焦点としては他にもEF100mm F2.8L マクロ IS USMやEF100mm F2.8 マクロ USMがあります。しかし、これらはマクロレンズなので、AFが若干遅く、さらにEF100mm F2よりも一回り大きくスナップなどには持ち歩きにくいレンズとなっています。
100mm単焦点はレンズにいつも装着しておくという使い方ではなく、持ち歩いて、必要なときにときに装着して撮影するというスタイルが多くなるので、コンパクトに収納できるというメリットは大切です。
さらに、マクロレンズとは違って最短撮影距離を無理に短くする必要はないので収差が非常に小さく抑えられていることも特徴のレンズです。レンズ評価を数値化したランキングでは最新レンズを含めたCanonレンズ全体でもトップクラスの得点を叩き出せるほど、その解像力は高くなっています。もちろん、最新のレンズコーティングなどはされていないので、逆光には弱くフレアは盛大に出ますが、純粋な解像力では決して最新レンズに引けをとりません。
平成3年発売のレンズが令和になっても販売され続けるのは、単に後継機が発売されていないという理由だけではなく、既に十分な描画力があるレンズだからという理由もあります。また、その描画力に惚れ込んだ多くのユーザーがいることも息の長いレンズとなっている理由です。
100mmの、マクロではなく、描画力の高い単焦点の存在はレフ機の長い歴史があり、レンズが充実してるCanonならではと言えます。
中古市場で美品を見つけたら即買い
EF100mm F2 USMは誰もが持っているような大人気レンズというわけではありません。しかし、知る人ぞ知る隠れ名玉で、根強いファンがいるレンズです。発売も古く、人気レンズというわけではないので、中古市場では3万円前後の価格で入手可能となっています。
しかし、「EF100 F2」で検索してもヒットするレンズの多くはF2.8のマクロレンズでEF100mm F2 USMは多くはありません。しかも、程度の良い美品であればかなり数は限られます。
使用頻度や発売の古さを考えると、新品で購入することを躊躇してしまうこともありますが、中古であれば手の届きやすい価格です。それだけに、程度の良い美品を見つけたなら即買いしてしまった方が良いレンズといえます。
活用できる撮影シーンとは
単焦点レンズは、開放F1台の明るさでピント面の前後に大きなボケを生み出す描写が基本です。開放がF2だと、ちょっと物足りない感じもしますが、100mmという長めの焦点距離であれば50mm F1.2やF1.8などに近いボケ量となります。
そして、中望遠である100mmは50mmなどと比較すると、いわゆる望遠レンズの特徴である「引き寄せ効果」や「圧縮効果」もあり、50mmとは違った描写となります。つまり、EF100mm F2 USMはボケ量はF2であることを意識せずに、望遠のメリットを生かした撮影がおすすめとなります。
ポートレートでは、よく使われる85mmよりもさらに離れた撮影となるので、どちらかと言うと、撮影というよりも、カメラを意識せずに自然に動いているときの表情を抑えるような撮影がおすすめとなります。
子供のカメラ目線などではない自然な表情を抑えたい場合は離れた位置から撮影出来るのでEF100mm F2は有効なレンズとなります。似たようなシチュエーションでは猫などを撮影するときも、距離を撮りつつ、毛の1本まで繊細に写す単焦点の描画力が活用できます。
その他には、都会のスナップでもEF100mm F2はけっこう活躍します。都会のスナップでは路地の奥や、ビルの上の方など近寄れない位置に面白い被写体があったりすることもあるので、100mmの引き寄せが使えることはメリットです。
その他に、意外な点では、APS-C機との相性が良いレンズでもあります。APS-C機にEF100mm F2 USMを装着するとフルサイズ換算で160mmとなります。そうなると、完全な望遠単焦点として活用できます。
一方で、EF100mm F2 USMを活用するときの注意点としては、手ブレ補正がないので、シャッタースピードはなるべく速くして、カメラをしっかり固定して撮影することがポイントです。手ブレはシャッタースピードと焦点距離の影響を受けやすいので、100mmだと単焦点でも手ブレにはシビアになります。
スナップ撮影など移動しながら撮影する場合は手ブレに注意しましょう。
ネット上のユーザーレビュー
■ ポジティブレビュー
- 設計が古いとは思えないほどよく映る
- F2ということで、全体的に柔らかな描写
- 中望遠単焦点とは思えないほどコンパクト
- 写真がうまくなったと錯覚するかのような綺麗なボケ味
- EF100Lマクロの半額で買えるというのはかなりのお得感
古いレンズにも関わらず、好レビューが目立つのは素性の良さとコスパの高さが関係してそうです。
■ ネガティブレビュー
- 広いスタジオじゃないと室内ポートレートでは若干長め
- 背景ボケでは口径食の影響を大きく受ける
- 開放では古い設計らしく、ぐるぐるボケの傾向
- 明るいところでの撮影ではパープルフリンジが出る
- デザインが古く、やすっぽいところが唯一の難点
驚くほどネガティブなレビューは少ないレンズですが、やはり設計の古さが隠しきれない部分はあります
まとめ
EF100mm F2 USMは標準画角の50mmやポートレートで大活躍する85mm、接写では欠かせないマクロレンズなどとは違い、知る人ぞ知るといったレンズです。しかも、発売も古く、注目度も低いレンズです。
しかし、その描画力はEFレンズの中でもトップクラスであり、設計の古さはまったくありません。F2という単焦点としては微妙な開放も、焦点距離が100mmなので十分なボケを生み出してくれます。
もちろん設計の古さを感じる部分もありますが、中古ではかなり手頃な価格で入手可能であり、コスパの高さを感じさせるレンズでもあります。
基本仕様 | |
---|---|
対応マウント | Canon EFマウント |
フォーカス | AF/MF |
フルサイズ対応 | ○ |
APS-C専用 | - |
レンズ構成 | 6群8枚 |
絞り羽根枚数 | 8枚 |
焦点距離 | 100mm |
最短撮影距離 | 90.0cm |
最大撮影倍率 | 0.14倍 |
開放F値 | F2.0〜22.0 |
画角 | |
手ブレ補正機構 | - |
防塵 | - |
防滴 | - |
サイズ・重量 | |
最大径×長さ | 75x73.5mm |
重量 | 460g |
フィルター径 | 58mm |
発売日 | |
発売日 | 1991年01月01日 |
製品情報
- カテゴリ
- 単焦点レンズ
- メーカー
- Canon
- タイプ
- 中望遠
- マウント
- Canon EFマウント
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価格 | 新品:79,804円〜 中古:35,360円〜 | 新品:45,674円〜 中古:24,980円〜 | 新品:124,088円〜 中古:72,000円〜 | 新品:187,000円〜 中古:127,490円〜 | 新品:163,486円〜 中古:144,390円〜 | 新品:129,640円〜 中古:71,000円〜 | 新品:137,220円〜 中古:109,800円〜 |
焦点距離 | 100mm | 85mm | 85mm | 85mm | 85mm | 135mm | 135mm |
F値 | F2.0〜22.0 | F1.8〜22.0 | F1.4〜16.0 | F1.2〜16.0 | F1.4〜22.0 | F2.0〜32.0 | F1.8〜16.0 |
絞り羽根枚数 | 8枚 | 8枚 | 9枚 | 8枚 | 9枚 | 8枚 | 9枚 |
手ブレ補正 | - | - | - | - | ○ | - | - |
重量 | 460g | 425g | 1,130g | 1,025g | 950g | 750g | 1,130g |
発売年月 | 1991年01月 | 2002年08月 | 2016年11月 | 2006年03月 | 2017年11月 | 1996年04月 | 2017年04月 |