TAMRON SP 15-30mm F/2.8 Di VC USD G2（Model A041）[キヤノン用]

意外と選択肢が少ない、手ブレ補正付き一眼レフ用広角ズーム

ミラーレスが普及すると、こういった悩みは減っていくでしょう。

レンズに手ブレ補正が付いていない。特に明るい広角レンズは手ブレ補正がついていないことが多くなります。

基本的に、手ブレは、シャッタースピードが「1/焦点距離」以上の秒数に設定されてるときに発生しやすくなります。つまるところ、広角レンズは焦点距離が短いので手ブレが発生しにくく、さらに明るいレンズはシャッタースピードも短くできるので手ブレ補正の必要性も下がります。

そこで広角レンズには手ブレ補正が搭載されていないものが多くなっているのです。ミラーレスカメラはボディ内手ブレ補正があるのでレンズに手ブレ補正がなくとも大した問題ではありませんが、構造上ボディ内に手ブレ補正を搭載しにくい一眼レフでは広角と言えどもレンズ内手ブレ補正が欲しくなるときもあります。

TAMRON SP 15-30mm F/2.8 Di VC USD G2は「VC、つまりTAMRONの手ブレ補正」が搭載されています。TAMRONの手ブレ補正といえば、AFを効かせた瞬間にゴキッとファインダー像が止まる効きの良さが好評です。

広角でもVCが搭載されていれば安心して手持ちで撮影できます。一応、比較しておくと、Canon EF16-35mm F2.8L III USM、Nikon AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED、SIGMA 14-24mm F2.8 DG HSM | Artなどの各メーカーのF2.8通し広角ズームは手ブレ補正は非搭載です。

これらは、価格やサイズダウンなどの目的や、手ブレ補正が解像度を下げてしまう可能性から、使用頻度の低い手ブレ補正を非搭載としていると考えられます。

TAMRON SP 15-30mm F/2.8は重量はありますが、価格は抑えたまま手ブレ補正を搭載しています。

もちろん光学性能も前述のレンズと同等と性能があり、Canonの方が逆光耐性と色収差の補正は良好だが、シャープさはTAMRONという評価もあります。色収差もピクセル等倍で2ドット程度なので、Canonに及ばなくてもかなり良好に補正されているといえます。

その光学性能に手ブレ補正が付いて、価格も純正より抑えられているとなれば、一眼レフをまだまだ使うなら1本持っていてもコスパは十分に高いレンズといえます。

TAMRONの一眼レフ用レンズを手に入れるのは今のうち

フィルムカメラがそうであったように、デジタル一眼レフも徐々にニーズは減り、流通量も少なくなっていくでしょう。ただ、フィルムからデジタルのときと大きく違うのが、フルミラはレンズマウントを一新しているということです。

フィルム一眼時代に使っていたレンズはそのままデジタル一眼に使うことができました。一方でデジタル一眼のレンズは、マウントアダプターを介すれば使えますが、新マウントの強みを活かすには新マウント用レンズが必要です。

TAMRONは流通が少なくなる一眼レフ用のレンズを次々とディスコン、生産終了しています。TAMRON SP 15-30mm F/2.8 Di VC USD G2もそんなレンズの1本で、新品の購入ができない店舗も出てきています。

新品購入にこだわりがある場合は在庫があるうちに早めに購入したほうが良いでしょう。一方で、中古を狙う場合は、流通量が増える今後に期待がもてそうです。

G2はとにかくビルドクオリテイが素晴らしい

SP 15-30mm F/2.8 Di VC USD G2はG2という文字から判別できますが2世代目のレンズです。旧モデルのSP 15-30mm F2.8 Di VC USDは2014年発売で、G2はその4年後、2018年に発売されました。

基本的な光学設計は同じですが、VCの性能や前玉の防汚コートの性能が向上してます。AF性能についてもMPUをAFと手ブレ補正を別のMPUで処理することによって性能向上させています。

基本設計が同じでもあらゆる面でブラッシュアップされていますが、その中でも目を引くのがビルドクオリティでしょう。旧モデルではプラスティッキーでCanon Lレンズとは大きく価格差を感じさせる外観でしたが、G2はルミナスゴールドのリングをマウント部分に纏い、全体的なデザインや質感も向上し、所有欲を満たしてくれます。

強いていえば、1.1kgというダンベル級の重量が全く変わっていないところが難点ですが、そこはミラーレスではなく一眼レフを使う以上は、F2.8のレンズはそういうものだと妥協する点となりそうです。

作例紹介

モノトーンで見ても補正で目立つ周辺減光はなさそうです

接写でも広角ならではの画角と、F2.8ならではボケ感が楽しめます

風景、夜景、星空、広角レンズが求められるシーンで大活躍してくれます

手ブレ補正があれば、何気ない風景が目に止まったときもさっと撮影できます

決して軽くはありませんが、筋トレしてでも持ち運びたくなるレンズです

ユーザーレビュー

■ ポジティブレビュー

• テレ端30mmの広角は24mmよりも使い勝手が良い
• EFマウントはゼラチンフィルターが使えるので良い
• 端までけっこう綺麗に写るのでコスパは文句なし
• EF-EOS Mとの組み合わせでも問題なく作動した
• 星空も風景も切れよく撮影できた

コスパを考えれば画質など満足度は非常に高くなっています。

■ ネガティブレビュー

• 重量1kgは切ってほしかった
• 本格的な防塵防滴仕様になってほしかった
• 歪みが気になるが、広角の味って感じと割り切れば問題ないかな
• アダプターを使ってZマウントだとAFが暴れて使えない
• 個人的には周辺解像度は他の評価ほどではないように感じる

アダプターを介して使う場合は相性などもあるので事前に情報を集めたほうが良さそうです。

まとめ

フルミラならばボディに手ブレ補正が付いているものが多く、レンズの手ブレ補正はさほど気になりませんが、一眼レフではレンズの手ブレ補正あり・なしは大問題です。

TAMRON SP 15-30mm F/2.8 Di VC USD G2は広角F2.8ズームでは珍しく手ブレ補正を搭載したレンズです。広角では手ブレ補正が解像度を落とすこともあるといわれますが、SP 15-30mm F/2.8は純正に迫る解像度でコスパの良さを発揮しています。

ディスコンの噂もあるので、一眼レフ用広角ズームを探しているなら、早めに購入を検討したほうが良さそうです。