製品解説
スペック情報
Nikonファンに「買わない理由がない」と言われる理由は
Nikonはフルサイズミラーレスを、Z7とZ6という2機種からスタートさせました。
Nikonファンに言わせれば「Z7を買わない理由がない」のだとか。それは「Nikonがはじめて販売したフルサイズミラーレスだから」もちろん、使い物にならないカメラであればNikonファンといえども購入しないのでしょうが、Z7はフルサイズミラーレスとして一通りの機能を網羅しており、他社のフルサイズミラーレスと比較しても遜色ないスペック。さらにNikon史上最高と自負する高画質に持ち前の光学技術を生かした他社を上回るEVFとなれば、Nikonファンが飛びつくのも当然です。
細かいスペックを見ていくと、Z7は4575万画素という高画素でNikonの中ではD850と同じですが、イメージセンサーは違うものです。フルサイズミラーレスでは「像面位相差AF」を使うため、レフ機とは違いイメージセンサーに「位相差センサー」が多数配置されているのです。常にイメージセンサーが可動するミラーレスでは、ライブビュー撮影がサポート役となるレフ機と違い「像面位相差AF」が重要となりますが、その「像面位相差AF」とイメージセンサーの「コントラストAF」の両方を使う「ハイブリッドAF」によって、Z7はレフ機にも負けないAF性能を実現しました。
今、フルサイズミラーレスのAFに関しては、瞳AFが話題の中心となっています。Z7はといえば、発売時点で瞳AFを搭載しておらず、Nikonファンをヒヤヒヤさせましたが、ファームアップによる対応でこの問題をクリアしました。発売段階で既に搭載していた顔認識AFはかなりの精度だったので、ファームアップ対応でも瞳AFの精度は期待できます。ポートレートで被写体の瞳にAFを合わせるというのは基本の撮影方法ですが、従来のレフ機では意識してピントを合わせる必要があり、かなりの労力が必要となっていました。それを意識せず実践できる瞳AFというのは、ミラーレスの大きなメリットとなります。
ファームアップによる対応で、大きな欠点はほぼ無くなったZ7ですが、Nikonファンから不満の声が出ているのがカードスロット。それもそのはず、Z7のカードスロットはXQDの1スロットしかないのです。同価格帯のレフ機はハイアマチュア~セミプロモデルということで、必ず2つ以上のカードスロットがあり、それがあればRAWとJPEGを別々に保存することができ、バックアップを取ることも可能です。Z7がダブルスロットに対応していないことは、唯一の不満点といえるのではないでしょうか。
Nikon Z7 / NIKKOR Z 50mm f/1.8 S
出典:flickr(@Sayo WOnoda)
Nikon Z7 / NIKKOR Z 24-70mm f/4 S
出典:flickr(@Jerome Favre)
Nikon Z7 / NIKKOR Z 24-70mm f/4 S
出典:flickr(@Jerome Favre)
Nikon Z7 / NIKKOR Z 50mm f/1.8 S
出典:flickr(@Sayo WOnoda)
Nikon Z7 / NIKKOR Z 24-70mm f/4 S
出典:flickr(@Mike Friederich)
Nikon一眼レフ/ミラーレス一眼相関図(2020年1月時点)※マッピングはCanon製品との対比で作成(運営者主観になりますので、参考程度にご覧ください)
Zマウントの秘密、人の目を超えるための口径とフランジバック
Nikonのフルサイズミラーレスは、SONYやCanonよりも大口径、短フランジバックということに注目が集まっています。
NikonがZマウントをそのサイズに決めたのは、決して他社への対抗心ではなく、人間の目を超えるレンズを生み出すため。人間の目をカメラのレンズに当てはめると、開放F値がF1相当といわれていますが、Nikonはそれを超える開放F0.95のレンズを作るために、この口径とフランジバックでフルサイズミラーレスを設計したのです。
レフ機の場合はミラーボックスがあるので、フランジバックを短くするには限界があり、また、F0.95を実現するには超大口径となってしまい、現実的に不可能だったのだとか。Nikonはギリギリまでフランジバックを短くしたフルサイズミラーレスを開発し、”人間の目を超える”という夢を実現しました。
憧れのレンズ 「NIKOR Z 58mm f/0.95 S Noct」
Noct Nikkorといえば、Noct Nikkor 58mm F1.2を思い浮かべる人は少なくないはず。1977年に生まれたその名玉は、夜想曲を表すノクターンからNoctの名を借りて、夜間などの暗い場所でも高い解像度で撮影できるように作られたレンズですが、それがZマウントによりNIKOR Z 58mm f/0.95 S Noct として復活します。
ただし、価格は100万円オーバー。高嶺の花ですが、いつかは手にしたいですね。
ただし、価格は100万円オーバー。高嶺の花ですが、いつかは手にしたいですね。
Z6との比較
Z6とZ7は同じデザインとなっており、Z7がシングルスロットになってしまったのは、Z6と同一デザインにしたことにも原因があるといえます。同一デザインなので、インターフェイス系に大きな差はありませんが、価格はZ7の方が10万円以上高くなっています。では、そんな大きな価格差をもってしても、NikonファンがZ6ではなくZ7を買うという理由はどこにあるのでしょう。
決定的な差は、イメージセンサーにあります。Z6は2450万画素で、AF測距点もそれに合わせてZ7の半分ほど。画像エンジンは同じですが、Z7はZ6と違いローパスフィルタレスなので、画質そのものにも違いが生まれてきます。Nikonの描画を体感したいならZ7でしょう。
一方でISO感度や連写性能ではZ6にも優位な点があり、Z7が完全上位互換というわけではありません。高画素なZ7は確かに高精細な画が撮れますが、高精細な写真を撮るためにはちょっとした手ブレにも注意が必要で、三脚を据えるなどしてじっくりと撮影する必要があります。Nikonの画作りを追求するならZ7、レフ機のサブ機としてのフルサイズミラーレスであればZ6、といったところでしょうか。
Nikonとしては ”オールマイティーなZ6”、 ”高精細なZ7”という位置付けをしています。
EOS Rとの違い
EOS RとZ7を比較すると、CanonとNikonのフルサイズミラーレスへのアプローチの違いが見えてきます。既存の画像エンジンで価格を抑えつつ、フルサイズミラーレスらしいデザインで、新たなユーザーもターゲットに開発されたEOS R。Nikonらしいデザインと新しい画像エンジンによる史上最高画質で、既存ユーザーを満足させたZ7。
価格差にもアプローチの違いが現れていて、Z7の方が20万円近く高くなっています。性能的には十分でも、初心者がいきなりZ7に手を出すことは、レンズを買うことなども考慮すれば手放しでおすすめできません。一方でEOS Rは操作系が従来のEOSと全く違うので、Canonユーザーがサブ機として使うにはちょっとクセがあります。Z7はNikonユーザーのための1台であり、EOS Rはレフ機からフルサイズミラーレスに移行する人向けといえそうです。
また、NikonもCanonもフルサイズミラーレス用に、今後発売するレンズのロードマップを発表しており、自分の必要とするレンズに合わせて”Z”にするか”R”にするかを選択するという方法もあります。特にNoctやRF28-70mm F2などはかなり特徴があるレンズといえるので、そこもZ7とEOS Rを評価するポイントとなるでしょう。
ネット上のレビュー
■ポジティブレビュー
- 全てがNikonらしい1台。
- グリップの握り心地はさすがNikon。
- AFの精度も文句なし。
- 防塵防滴でしっかりした作りなので、撮影時に信頼感がある。
- EVFが綺麗なので、撮影前にピクチャーコントロールなどの調整がしやすい。
やはりNikonらしいカメラであることが、プラスのレビューに繋がっていますね。Nikonファンがフルサイズミラーレスをどれだけ待望していたか、感じられるようなレビューです。
■ネガティブレビュー
- 良くも悪くも第一世代。
- マウントアダプターを介すると、純正FレンズでもAF速度が遅く感じる。
- バッファメモリが少ないせいなのか、連写での息切れが速い。
- 操作性がNikonらしく、あと一歩不便。
- ボディが高いのでレンズに手が出ない。
マイナスレビューもある意味Nikonらしいという感じで、買って損したというものではなく、Nikonに対する今後の要望が多く見られます。
まとめ
価格が高いともいわれるZ7ですが、Nikonならではの堅牢性やAF精度、そして史上最高画質というプロ機に匹敵する性能があるということで、納得の価格ではないでしょうか。
レンズ資産のあるNikonユーザーはもちろんのこと、新マウントとなるミラーレスをどのメーカーのものにするか迷っている、中上級アマチュアカメラマンの購入候補にもなる1台です。
レンズマウント | |
---|---|
レンズマウント | Nikon Zマウント |
撮像素子 | |
センサーサイズ | フルサイズ(35.9×23.9mm) |
有効画素数 | 4,575万画素 |
ダスト低減機能 | ○ |
映像エンジン | EXPEED 6 |
画像記録 | |
記録媒体 | XQDカード
|
スロット数 | シングルスロット |
記録画素数 | ・撮像範囲[FX(36×24)]の場合:
|
画像ファイル | JPEG/RAW/TIFF |
動画 | |
4K対応 | ○ |
記録サイズ | 3840×2160(4K UHD):30p
|
記録形式 | MOV/MP4 |
ライブビュー | |
フォーカス | ハイブリッドAF(位相差AF/コントラストAF) |
シャッター | |
シャッター速度 | 1/8000~30秒 |
連続撮影速度 | 最高約9.0コマ/秒 |
露出制御 | |
測光方式/測光分割数 | 撮像素子によるTTL測光方式 |
ISO感度 | 64〜25,600 |
AF | |
測距点 | 最大493点 |
ファインダー | |
視野率 | 100% |
倍率 | 約0.8倍 |
ストロボ | |
内蔵ストロボ | - |
液晶モニター | |
サイズ | 3.2インチ 210万ドット |
可動式 | チルト式液晶 |
I/F | |
インターフェース | USB Type-C、miniHDMI |
無線LAN | |
Wi-Fi機能 | ○ |
ネットワーク | |
NFC | - |
Bluetooth | ○ |
防塵・防滴 | |
防塵・防滴 | ○ |
手ブレ | |
手ブレ補正機構 | ○ |
GPS | |
GPS | - |
電源 | |
撮影可能枚数(ファインダー) | 330コマ |
撮影可能枚数(ライブビュー) | 400コマ |
動画撮影可能時間 | |
USB充電 | - |
使用電池 | Li-ionリチャージャブルバッテリーEN-EL15b |
サイズ・重量 | |
サイズ | 134x100.5x67.5 mm |
重量 | 585g |
発売日 | |
発売日 | 2018年09月28日 |
製品情報
- カテゴリ
- ミラーレス一眼
- メーカー
- Nikon
- タイプ
- ハイアマチュアモデル
- マウント
- Nikon Zマウント