SIGMA 35mm F1.2 DG II｜Art [ライカL用]

単焦点らしい軽快さを実現した新時代のF1.2レンズ

単焦点レンズにおける高水準レンズであるF1.4よりも明るいスピードレンズはラインナップが少なく希少な存在でしたが、ミラーレス機が主流となってからはその選択肢が増加。明るさを優先したがゆえのクセのある描写も昨今のハイスピードレンズにはあまり見られず、F1.4のレンズを越えた描写表現を体感できるレンズとして、積極的にシステムに組み込む人も増えてきた印象です。

明るいレンズは往々にしてサイズが大きくなってしまいます。2019年にリリースされた前モデルである35mm F1.2 DG DN Artこそその象徴的な1本で、重量は1kgを優に超えた約1080g。35mm単焦点からくる従来の軽快なイメージとはまったくかけ離れた極めて重たいレンズとなっています。それでも、当時世界初のミラーレス用35mmF1.2レンズとして、Artシリーズらしい妥協を感じさせない極まった描写性能とともに多くのファンを獲得することに成功しています。

そんな巨砲の35mm F1.2 DG DN Artを、リリースからおよそ6年のうちに培った技術によって大幅にサイズダウン。約30％のスリムアップで約745gとなり、同シリーズのF1.4レンズに迫るボリュームを実現。全長は24.8mm短く、最大径も6.8mmコンパクト化。ボディサイズの小さいミラーレス機とのマッチングも向上した魅力的なアップデートといえます。

またコンパクト化によって、35mm単焦点としては規格外の82mmというフィルター径も72mmへと小型化。保護フィルターの装着やNDフィルターなどのフィルターワークを行なう際のコストが大幅に軽減できることも見逃せません。

製品	SIGMA 35mm F1.2 DG II｜Art [ライカL用]	SIGMA 35mm F1.2 DG DN｜Art [ライカL用]
焦点距離	35mm	35mm
F値	F1.2〜16.0	F1.2〜16.0
最短撮影距離	28.0cm	30.0cm
絞り羽根枚数	11枚	11枚
重量	755g	1,090g
発売日	2025/09/25	2019/07/26

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前モデルを引き継ぐ圧倒的な表現力

その大きさと重さを度返しするほど描写性能は軽量コンパクト化に成功した本レンズでも余すこと無く継承。F1.2というピーキーなレンズとは思えないほど、開放値からピント面の描写は鋭く、特殊レンズと非球面レンズで色収差やサジタルコマフレアを徹底補正。明るさと平滑な描写性能が必要となるシビアな星景写真でもその力をいかんなく発揮してくれます。

高精細な描写性能を持つレンズの場合ボケ表現に硬さが出やすいですが、35mm F1.2 DG II｜Artは色にじみや二重ボケをおさえ、F1.2という明るさが生み出すボケ味を存分に活かすことが可能。2つのフォーカス群をそれぞれリニアモーターHLAで駆動させる「デュアルHLA」で前モデル以上に素早く正確なAFを実現し、F1.2の非常に薄いピント面にもしっかりと食いつき、近接撮影も行ないやすいです。

もちろん防塵防滴構造を採用しているので、天候をあまり気にすることなく撮影に没頭することができます。

ユーザーレビュー

■ ポジティブレビュー

• 日常使いが許容範囲になるくらいのボリューム
• フィルター径が2サイズもダウンしているのは経済的にも助かる
• 価格は高くなったが、作りが良く使い勝手が良くなったので好感が持てる
• フォーカスブリージングがしっかり効いているので動画撮影でも重宝
• AFの駆動のパフォーマンスが確実に上がっている

もともと評価の高いレンズを軽量化とともにブラッシュアップした形なので、好感触な意見が多数。前モデルのAFの駆動が少々もっさりしていたぶん、評価する声が散見されました。

■ ネガティブレビュー

• フレア耐性があまり強くない印象
• 開放での周辺減光が改善されているがそれでも落ち込みが見られる

さまざまな収差の抑制が徹底されているぶん、フレアの発生が目立つ印象。周辺減光はみられるものの、デジタル補正で充分修正されるレベルのようです。

まとめ

大幅な軽量・コンパクト化でF1.2の世界を急激に近づけてくれる35mm F1.2 DG II｜Art。標準域と広角域をカバーできるオールマイティな画角も導入しやすい要素といえます。ここぞという場面で取り出す伝家の宝刀のような使い方だけでなく、常用レンズとしても持ち出して、日常の何気ない風景を最高品質の絵作りで堪能してみてはいかがでしょうか。