製品解説
スペック情報
広角Lレンズはこの1本におまかせ
2007年に発売されてから長らく、EF14mm F2.8L II USMはCanonの最広角レンズとして多くのユーザーに支持されてきました。
CanonにはEF8-15mm F4L フィッシュアイというさらに焦点距離の短いレンズがありますが、こちらは歪みの大きな魚眼レンズなので一般的な広角撮影とちょっと用途が違います。
2015年にEF11-22mm F4L USMという超広角ズームレンズが発売さたことでCanon最広角の座は譲りましたが、EF14mm F2.8L IIの開放F2.8という明るさは14mmという広角域では未だにユニークな存在のレンズとなっています。
EF11-22mm F4L発売以前は、EF14mm F2.8L IIがCanon広角唯一の選択肢でしたが、「これしかないから」という消極的な理由ではなく、Canonらしい高コントラスト画像を求めて選ばれてきたレンズがEF14mm F2.8L IIです。
EF14mm F2.8L IIは、旧モデルである1991年発売のI型からは完全リニューアルで新設。非球面レンズとUDレンズをそれぞれ2枚使うことで広角レンズで目立ちがちな収差を綺麗に抑えています。また、EF11-22mmと違い、単焦点レンズであるEF14mm F2.8L IIは周辺光量落ちなども少なく、F4まで絞れば光量落ちはほとんど目立たなくなります。
Canon一眼レフで広角撮影にこだわりたいのであればEF14mm F2.8L II USMもEF11-22mm F4L USMも両方欲しくなりますが、予算的にどちらか1本というのであればEF14mm F2.8L IIはEF11-22mmより10万円近く価格差があるのでメリットとなります。
もちろん、価格以外にもEF14mm F2.8L II USMを選ぶメリットは多数あります。全体的なレンズ性能としては後発のEF11-22mm F4L USMが高くなっていますが、EF14mmにはF2.8という明るさがあるので描画力も申し分ありません。前述の通り、周辺光量落ちなどはF4程度に絞ることで改善します。中心部の描画も少し絞ることでシャープになります。
また、手ブレ補正非搭載の広角レンズですがちょっとした暗がりでもシャッタースピードを稼いで手ブレを防げるのが明るい単焦点のメリットです。EF11-22mm F4を開放で撮影するよりも、開放がF2.8なら絞りによる調整幅が広くとれます。
他にもEF11-22mmと比較すると約半分の重量であるという点もEF14mm F2.8L II USMのメリットです。
広角のLレンズをまず1本手にしたいという場合は、持ち運びやすく明るいEF14mm F2.8L II USMが選択肢のトップにあげられます。
気になる広角レンズのフードとフィルター
EF14mm F2.8L II USMの様な広角レンズといえば画角が広いのでフレアやゴーストを避けるレンズフードも気を使いますし、前玉が突出しているのでレンズフィルター選びも注意が必要です。
EF14mm F2.8L IIはレンズフードが組込式、つまり一体型となっています。取り外したり、簡単に交換したりということは出来ないので、万が一レンズフードを破損した場合はレンズまるごとメーカー修理に出す必要があります。
とはいえ、レンズフードは金属製なので簡単に破損するということはなく、もしレンズフードが変形する衝撃ならレンズも無事ではないでしょう。そのため、中古で購入するときはレンズフードの傷もしっかりとチェックしたいですね。
レンズキャップは茶筒の様にレンズフードの上にカパッとはめ込むタイプであり、汎用のレンズキャップは装着できないので、中古で購入するときはこちらも付属の有無をチェックすることが重要です。
さて、EF14mm F2.8L IIは突出した前玉なので通常のレンズに装着するような保護フィルターなどは装着できません。NDフィルターやPLフィルターを使いたいときは、後玉の後ろにゼラチンフィルターをカットして装着するか、角型フィルターアダプターを前玉の前に装着する必要があります。
フィルターの脱着などを考えると、角型フィルターを前玉の前にアダプターを介して装着するのが広角レンズではよく使われます。
広角でF2.8という明るさは大きな武器に
EF14mm F2.8L II USMの特性を活かして撮影するのであれば、F2.8という明るさと最短撮影距離0.2mというスペックを活かすと良いでしょう。
明るさを活かして星空や夜景撮影などを行っても良いですが、最短撮影距離を活かして被写体を大きく撮影しても面白い写真となります。特にF2.8という明るさがあるので、被写体に寄って背景を大きくボカすという一眼カメラの基本とも言える撮影が、広角レンズの特徴的な画角で面白い写真となります。
EF14mm F2.8L II USMは収差や周辺光量落ちはよく補正されていますが、広角レンズにありがちな「周辺の流れが気になる」という評価もあります。
ただし、被写体に寄った撮影であれば周辺の流れはあまり気にならなくなります。また、周辺の流れと言ってもピクセル等倍まで拡大しなければそこまで気になるものでもありません。
EF14mm F2.8L II USMは風景全体を広く写す広角撮影から、被写体に寄ったユニークな広角写真まで楽しむことができます。
絞ることで主題となる被写体と背景を精細に描画できます
夜の撮影ではF2.8の明るさが活きます
樽型収差が目立つという評価もありますが、そこまで気になるものでもなさそうです
部屋全体を撮影するときは、明るい超広角レンズが欠かせません
対角構図でダイナミックに撮影するのは超広角レンズを使う楽しみの1つです
ネット上のレビュー
■ ポジティブレビュー
- 明るいレンズなので手ブレ補正なしでも気にならない
- レンズキャップは新型になってから脱落しにくくなった
- このヌケ感はズームレンズでは得られない
- 明るい単焦点としては許容範囲のコンパクトさ
- I型から画質、スペックすべてがワンランク向上している
持ち運べる広角単焦点としてコンパクトさに高評価が集まっています。
■ ネガティブレビュー
- 四隅の歪曲はソフトでも補正できないくらい酷い
- 逆光ではゴーストが目立つ
- Nikonの広角と比べればちょっと劣る
- 純正ではフィルターのアダプターがない
- 前玉の取り扱いには要注意
画質については賛否あるようです。満足しているユーザーの声もありますが、NikonやSIGMAの広角を推す声もあります。
まとめ
広角レンズはなかなか後継レンズが発売されず、更新頻度が遅い傾向にあります。EF14mm F2.8L II USMも古いレンズとなってきてはいますが、超広角撮影ではその明るさはユニークで、欠かせないレンズです。
より広角に撮影できるCanon純正ズームもありますが、EF14mm F2.8Lは超広角としてはコンパクトで、コスト的なメリットもあります。
明るさを活かして、風景だけでなく様々な撮影に応用できる超広角レンズと言えるでしょう。
基本仕様 | |
---|---|
対応マウント | Canon EFマウント |
フォーカス | AF/MF |
フルサイズ対応 | ○ |
APS-C専用 | - |
レンズ構成 | 11群14枚 |
絞り羽根枚数 | 6枚 |
焦点距離 | |
最短撮影距離 | 20.0cm |
最大撮影倍率 | 0.15倍 |
開放F値 | F2.8〜22.0 |
画角 | |
手ブレ補正機構 | - |
防塵 | - |
防滴 | - |
サイズ・重量 | |
最大径×長さ | 80x94mm |
重量 | 645g |
フィルター径 | |
発売日 | |
発売日 | 2007年09月01日 |
製品情報
- カテゴリ
- 単焦点レンズ
- メーカー
- Canon
- タイプ
- 広角
- マウント
- Canon EFマウント