製品解説
スペック情報
SIGMAらしくないとの評価の真相は?
SIGMAは2012年から新たなブランディング戦略をスタートし、それまでのイメージを一新させることに成功しました。
今までサードパーティ製のレンズといえば安いが写りはイマイチといったものでした。CanonやNikonなどのカメラメーカーが膨大な開発費を投じて、高性能、高品質なレンズを販売していますが、開発費の分、価格が高いというデメリットがあります。
サードパーティレンズメーカーは開発費や製造コストを抑えることで、同じ焦点距離や明るさでも低価格なレンズを販売することで純正レンズとの住み分けをし、ユーザーを獲得してきました。
デジタル一眼の画素数が低い時代であれば、多少、解像力の低いレンズでも写りに大きな差はなく価格面からサードパーティレンズを選ぶメリットは大きかったのですが、近年の高画素機では解像力の低いレンズでは写真の出来に大きく差が出てしまうので、デメリットが大きくなってきました。
SIGMAはデジカメの進化に合わせて解像力の高いレンズの開発に力を入れ、純正レンズに迫る解像力のレンズを発売するようになりましたが、すると今度は価格的なメリットが薄れてきました。
そこでSIGMAは新たなブランディング戦略として、従来の上位モデル、中位モデルといった分類をやめ、ユーザーの撮影目的に合わせたレンズラインナップを展開するようになりました。
これによって、価格で純正レンズ、SIGMAレンズを選ぶのではなく、撮影目的に合わせてユーザーがSIGMAレンズを選べるように促しています。そんなブランディングの1つであるArtレンズラインは高品質で解像感の高い写真を撮影するときに使用することを目的としたレンズ群です。近年のSIGMA Artレンズは「とにかく高い解像力」という印象があります。
収差が少なく、ピント面では精細な描写で近年の高画素カメラのメリットを活かした撮影が出来ます。そんなArtレンズ群に2017年に新たに投入された24-70mm F2.8 DG OS HSM | Artは、純正レンズに迫る高解像力かと期待されましたが、実際はその期待を裏切るものでした。
今までのArtレンズの様な、解像力第一主義というような性能はありません。しかし、今までのArtレンズにはなかった、ボケ感や全体の色描写などでSIGMA Artレンズの新たな可能性を示すレンズとなっています。
この、従来のSIGMAレンズとは違う解像感はデータでも実証されていたり、SIGMA自身のアナウンスでも「24-70mm F2.8 DG OS HSMはボケを重視して収差を残した」と言っています。このレンズが新たなSIGMAの顔となる可能性は大いにあります。
瞳周辺のシャープなピント面から柔らかなボケが広がっています
広角側では若干の周辺光量落ちと各種収差が見受けられます
望遠側で絞って使うとSIGMAらしい描画が出来上がります
玉ボケが若干口径食がみられますが、玉ねぎボケはすくなく綺麗です
肌の質感描写などポートレートはこのレンズの得意分野といえそうです
激戦区をSIGMAはどう生きるか
24-70mm F2.8という焦点距離と明るさを持ったレンズは、フルサイズ一眼で最もよく使われるともいわれる人気レンズです。プロからアマチュアまで、商業撮影から趣味の撮影まで、標準域を使った撮影ではこのレンズがかなりの頻度で使われます。
レンズ交換なしに、広めの画角から、標準、大きなボケを生み出す望遠よりの撮影までをレンズ交換なしに撮影できるので、スムーズに撮影をすすめる上では欠かせません。そのため、CanonもNikonも24-70mm F2.8の描画にはかなりこだわりを持ってレンズ設計をしていて、そのメーカーの顔とも言えるレンズとなっています。
SIGMA 24-70mm F2.8 DG OS HSM | Artはそうやって作られた、Canon EF 24-70mm F2.8L II USMやNikon AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8E ED VRと価格だけでなく描画力でもスペシャリティを発揮することが求められます。
これまでSIGMAは高解像力が自慢のArtレンズラインを作り上げてきましたが、今までのレンズはピント面でのシャープさはピカイチでもボケも含めた描写力は純正レンズに比べていま一歩という評価でした。
24-70mm F2.8 DG OS HSM | Artは逆に、解像力はそこまで高くなく、ボケ味を重視して作られたレンズとなっています。ボケ味は柔らかく、なおかつ色味も良好で、これがSIGMAの新たな描画かというものが感じられます。
一方で、やや控えめとなっている解像力は純正レンズからやや劣るものの、それは数値測定によって明らかになる範囲であり、体感するほどの大きな差ではありません。
そういった意味では、SIGMAが24-70mm F2.8 DG OS HSMで解像力優先から描画力優先に舵を切ったことは成功しているといえます。
風景よりもボケを意識した写真に
SIGMAのArtレンズはその解像力の高さから風景写真などでよく使われたりしますが、もし風景目的でSIGMAレンズを求めるなら、24-70mm F2.8 DG OS HSMよりも24-35mm F2 DG HSMの方が適しています。
24-70mm F2.8 DG OS HSMはどちらかというと広角端よりも望遠端で解像力があがるズームレンズなので、望遠よりでの撮影を意識したほうがレンズの性能を引き出すことができます。
ズームしても明るさの変わらないF2.8通しのレンズなので、望遠よりの焦点距離では大きなボケを得られます。ポートレートではこれが大きな武器となります。
また、純正レンズに比べると広角よりではやや周辺光量落ちも見られるので、そういった点からも風景よりポートレートや物撮りなどのボケを意識した撮影の方が向いていると言えます。
ユーザーレビュー
■ ポジティブレビュー
- Canon純正の㈼型は手ブレ補正がないので、これは使いやすい
- 純正レンズと比べても拡大しなければ違いはわからない
- 防塵防滴もあるので、ハードな撮影をしても安心
- 高額レンズだが純正より数万安いというのは結構大きな差
- AFは純正と同等の速度と静音性
純正レンズとほぼ遜色ない描画力と機能性に加えて、購入費用も抑えられるということでメリットの多いレンズ選択肢となっています。
■ ネガティブレビュー
- もうちょっと安いか、純正超えの性能が欲しかった
- 手ブレ補正は期待ほど効果は大きくない
- あっと言うほどの特徴はなにもないレンズ
- 風景撮影では周辺減光に注意が必要
- フォーカスリングが細く扱いにくい
より純正に迫る性能を求めるユーザーの声が多く見られました。
まとめ
24-70mm F2.8 DG OS HSM | Artは純正レンズと比較すると数万円安く購入できるものの、サードパーティ製であることを考えると価格的なメリットは大きくありません。
それよりも、Canon EF 24-70mm F2.8L II USMにはない手ブレ補正が搭載されていることや、純正レンズとは違ったボケ味を持ったレンズとして、絵作りや機能性などにこだわりをもって選びたいレンズです。
注意するべき点としては従来のSIGMA Artレンズラインとは違い、解像力抜群ではないという点です。解像力よりもボケ味に注視してこのレンズを評価してみるとよいでしょう。
基本仕様 | |
---|---|
対応マウント | Canon EFマウント |
フォーカス | AF/MF |
フルサイズ対応 | ○ |
APS-C専用 | - |
レンズ構成 | 14群19枚 |
絞り羽根枚数 | 9枚 |
焦点距離 | |
最短撮影距離 | 37.0cm |
最大撮影倍率 | |
開放F値 | F2.8〜22.0 |
画角 | 84.1~34.3度 |
手ブレ補正機構 | ○ |
防塵 | ○ |
防滴 | ○ |
サイズ・重量 | |
最大径×長さ | 88x107.6mm |
重量 | 1,020g |
フィルター径 | 82mm |
発売日 | |
発売日 | 2017年07月07日 |
製品情報
- カテゴリ
- ズームレンズ
- メーカー
- SIGMA
- タイプ
- 標準
- マウント
- Canon EFマウント
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