Nikon NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S

ミラーレスに集中したNikonが生み出したレンズ

Nikonは、2021年に行われたメディアのインタビュー記事で、「当面はミラーレスに集中する」ということを表明しています。2019年には方針転換を行っていて、従来の台数で利益を追うのではなく、プロ向けのミラーレス開発に集中することで、性能を追求するユーザーへ訴求するという方針を打ち出しています。

NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR Sは2021年に発売されたレンズというこで、まさにこの方針転換とともに開発されたレンズと言えます。

Nikonの技術を集めて作られたこのレンズ、特徴は高い解像力と、滑らかに広がるトロけるボケ感を両立しているという点。通常、解像力を追求するとボケが硬く、うるさくなったりしますが、NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR Sは解像力と極上のボケ感が共存した写真を写すことができます。S-Lineレンズらしく、「妥協なき光学性能の追求」がなされた故、この性能が確立されています。

そのことは、NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR Sのサイズをみるとわかります。近年のミラーレスレンズは光学性能を向上させつつ、サイズをコンパクトにまとめるという設計コンセプトが主流ですが、NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR Sは一眼レフ用レンズのAF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8E FL ED VRとほぼ同じサイズ感。

NIKKOR 70-200mm f/2.8E FL ED VRが1,430gに対して、NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR Sは1,360 gということで、ミラーレスマウントのコンパクトな設計をしやすいという優位性を考えると、サイズよりも光学性能にかなりのウエイトを置いて設計されたことがわかります。鏡筒のビルドクオリティも当然高く、Nikonらしいシンプルで端正な外観に防塵防滴の堅牢性。

さらにNIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR SはAF速度が向上したことも大きなポイント。手ぶれ補正VCも性能が高く、AF速度も十分なことから屋内スポーツなどでの活躍も期待できるレンズです。

光学性能、機能性共に隙のないレンズ作りは流石Nikonと思わせます。

FE 70-200mm F2.8 GM OSS IIとの比較は

ミラーレス界をリードするSONYの純正レンズ、FE 70-200mm F2.8 GM OSS IIと比較するとその特徴が良く見えてきます。

マウントが違うので購入時の選択肢として並ぶことはありませんが、カメラを選ぶときにどちらのマウントを選ぶのかというポイントになりそうです。

マウントという点で言うと、Nikon Zマウントは、SONY、Canonと比較して、最も大口径ショートフランジバックのマウントという特徴があり、そこは光学設計で有利と言われています。

マウントに関連して、この2つのレンズの光学上における特徴的な違いを上げると、どちらも際立った解像性能のあるレンズですが、NIKKOR 70-200mmは広角側でより解像性能が高く、FE 70-200mmは望遠側で解像性能が高いという特徴があります。

これはやはり、マウント径が多少なりとも関係している部分はあるかもしれません。大口径である光学設計におけるメリットは、より広角側で大きく発揮されるので、それがこの特徴の差に繋がっていると考えられます。

FE 70-200mmは解像性能のピークの差はありますが、全体としてはNIKKOR 70-200mmと同等であり、NIKKOR 70-200mmよりも300ｇ以上軽いことを考えると、SONYのコンパクト化の技術には驚かされます。

ただし、FE 70-200mmは逆光性能に弱点があり、この点においてはNIKKOR 70-200mmが優秀な性能を発揮しています。

コンパクト化の技術に定評のあるSONYが生み出す高性能コンパクト70-200mmと、質実剛健なレンズ設計に定評のあるNikon。両社の70-200mmはそれぞれの特徴の現れたレンズといえます。

作例紹介

愛用者のコメント

風景をメインに撮影する私にとって、「70-200mm」という焦点距離のレンズは必要不可欠であり、このレンズであれば「空気すらも表現出来る」という評判を聞いた上で購入に至りました。

購入後、実際に撮影してみるとその描写力は圧巻。まさに驚嘆です。「Zレンズに外れ無し」という言葉を聞きますが、ずばりその通りだと思いました。

この描写力を言葉に例えるなら、ズームが出来る「単焦点レンズ」。一度持ったら手放せないレンズの1本であり、アマチュアからプロまで幅広く愛用される1本だと思います。

また、Zのテレコン(1.4x、2x)も着用可能。最大焦点距離は400mm、F5.6になり、APS-C機での使用、フルサイズ機においてはDXクロップモードに切り替えた時は、最大で約600mmまで焦点距離をカバー出来るのも魅力の一つです。

軽いレンズではないですが、「軽さより質を求める」という方には本当にオススメのレンズです。

ユーザーレビュー

■ ポジティブレビュー

• 欠点らしい欠点がないというのがNikonらしいレンズ
• 縦位置でホールドしたときのレンズ、ボディの重量バランスは最高
• テレコンを噛ましても解像性能低下はわずかでかなり使える
• 他の性能もだが、何より解像性能が段違い
• 単なる解像感だけでなく、描写に色気を感じさせるレンズ

光学性能、ビルドクォリティ共にNikonらしい性能に多くの高評価が集まっています。

■ ネガティブレビュー

• 今の時代の最新のレンズとして考えると、やはり大きく重すぎという印象
• AF性能は文句なしだが、ボディ性能が追いついていない
• 最短撮影距離ももう少し寄れたらという印象がある
• ズームリングが1番奥なので回しにくい
• SRレンズが入っているせいか、他のレンズと若干色味が違う

カメラボディの性能がレンズに追いついてないという評価があり、このレンズの性能をフルで発揮できるカメラの登場が期待されるところです。

まとめ

ミラーレスに開発リソースを集中しているNikon。そんなNikonが開発した、新しい大三元望遠ズームレンズがNIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S。

その特徴はあらゆる撮影で高い性能を発揮するためにNikonの技術が詰め込まれた最高峰S‐Lineレンズであるという点。解像力とボケ感の共存はポートレートでは抜群の描写力を発揮します。

また大きく改善されたAFと手ぶれ補正VCは屋内スポーツ撮影や報道撮影で強力な武器となり、まさに全方位で隙のないレンズとして完成しています。

まさに質実剛健というNikonらしさが詰まったレンズがNIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR Sです。