製品解説
スペック
Z fcに照準をあわせたクラシックスタイル
2021年に発売し、フィルムカメラの名機「FM2」を彷彿させるクラシックなスタイルで注目を集めたミラーレスカメラNikon Z fc。
ただ、グリップすらも廃したZ fcのスタイルにマッチしたレンズの選択肢はほぼなく、収納時にパンケーキタイプになるNIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VRか、FマウントのマニュアルレンズをインスパイアしたNIKKOR Z 28mm f/2.8(Special Edition)の2択といったところ。ただし、NIKKOR Z 28mm f/2.8はフルサイズ用レンズなので、約42mmの標準画角で使用することとなります。
ミラーレス機の特徴を活かして、マウントアダプター+オールドレンズの組み合わせも良いのですが、NIKKOR Z 28mm f/2.8と同様に焦点距離が伸びてしまうため、用途によっては選択肢の幅が狭まってしまいます。また、当然ながら電子接点は無いので、レンズの記録がデータに残らなかったり、カメラ本体の機能も制限されてしまいます。
その点、NOKTON D35mm F1.2は、DXフォーマットのZマウント専用設計レンズとして開発され、電子接点も有しています。レンズデータが残るだけでなく、ボディ内手ブレ補正はしっかり効きますし、ピント合わせのサポート機能にもフル対応。MFレンズが初心者だったとしても、安心して使うことができます。
デザインは往年のFマウントレンズをフィーチャー。このコンセプトは、同じVoigtlander(フォクトレンダー)シリーズのFマウント版ですでに実行されていて、そちらではNikon FやF2と同時期のレンズに備わっていた“カニ爪”も再現するという徹底ぶり。NOKTON D35mm F1.2はZマウント専用ということで、さすがにカニ爪は無くなっていますが、焦点距離やF値の数値や被写界深度のメモリは健在です。
サイズは全長約41mm。これはNIKKOR Z 28mm f/2.8(Special Edition)よりも短く(約43mm)非常にコンパクトです。重量は約230g。Nikon製DXフォーマットのZマウントレンズに比べると重たいものの、F1.2という明るさを有したレンズと考えると破格の軽さ。金属製で質感も良く、フォーカスリングのトルク感もMFレンズならではのものになっているので、所有した際の満足度は高いレンズといえます。
製品 | Voigtlander NOKTON D35mm F1.2 [ニコンZ用] | Nikon NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR | Nikon NIKKOR Z 28mm f/2.8 |
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価格 | 新品:69,800円〜 中古:67,800円〜 | 新品:30,480円〜 中古:22,570円〜 | 新品:29,000円〜 中古:28,310円〜 |
焦点距離 | 35mm(35mm判換算:53mm相当) | 16-50mm(35mm換算:24-75mm) | 28mm |
F値 | F1.2〜16.0 | F3.5〜22.0 | F2.8〜16.0 |
最短撮影距離 | 30.0cm | 25.0cm | 19.0cm |
絞り羽根枚数 | 12枚 | 7枚 | 7枚 |
手ブレ補正 | - | ○ | - |
防塵 | - | ○ | ○ |
防滴 | - | ○ | ○ |
重量 | 230g | 135g | 155g |
発売年月 | 2022年03月 | 2019年11月 | 2021年11月 |
NOKTONの“個性”を大いに楽しむべし
Voigtlanderのレンズは、レンズ構成や明るさなどのコンセプトで名称が変わります。
「NOKTON」(ノクトン)はF1.5よりも明るいダブルガウス型の大口径レンズに用いられる名前です。そのほかにもテッサー型で小型な「Color Skopar」(カラースコパー)や、明るさF2付近のダブルガウス型&大口径の「Ultron」(ウルトロン)、最高性能を約束した「APO-LANTHER」(アポランターシリーズ)などがあるのでぜひご参考までに。
NOKTON D35mm F1.2はNOKTONの中でも明るめな部類となり、大きなボケが見込めるレンズといえます。焦点距離は35mm換算で約52mm。撮影可能な最短距離は30cmと比較的寄ることもできるので、よりボケ味の強い画作りが可能です。
また、NOKTONシリーズは、開放と絞ったときで描写が大きく変わる傾向があり、NOKTON D35mm F1.2もその特徴を引き継いでいます。開放は繊細で柔らかく、絞っていくにつれてグングンとシャープ感が増していくイメージ。“クセ玉”という部類に入るレンズかもしれませんが、うまく活用できれば、他の人とは一線を画す1枚を撮ることができるかもしれません。
開放で撮影する場合には、被写界深度が極めて浅くMFレンズであることを鑑みて、なるべくなら三脚を使いたいところ。手持ち撮影する場合には、自身が起こす前後の揺れに充分注意しましょう。
ユーザーレビュー
■ ポジティブレビュー
- 金属製で質感が高い
- 携帯性が良い
- Z fcに似合うオールドレンズスタイル
- スペックシートにはない魅力のあるレンズ
気軽に持ち出せる標準単焦点レンズとして評価されています。MFでじっくり被写体と向き合えて、描写も特徴的なので、表現の幅を広げるレンズとして重宝している方が多いようです。
■ ネガティブレビュー
■ ネガティブレビュー
- 開放の描写がソフト
- フレアが出やすい
- AFがない
現代的な写りを望んでいる人にはあまり評価されにくいレンズといえます。
まとめ
見た目はとことんクラシックで、ひと癖ある描写…。Nikon Zfcのような“趣味性の高いカメラ”からカメラ趣味を始めた方には、特にNOKTON D35mm F1.2はマッチするレンズではないでしょうか。
最近のレンズはいずれも開放からシャープに写り、自分の意図に沿った写真が撮りやすいですが、その反面で面白みがなく趣味性はあまり高くないともいえます。
レンズが持つ強い個性を活かしながら被写体を向き合うと、また新たな写真表現に出会えるかもしれません。
基本仕様 | |
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対応マウント | Nikon Zマウント |
フォーカス | MF |
フルサイズ対応 | - |
APS-C専用 | ○ |
レンズ構成 | 6群8枚 |
絞り羽根枚数 | 12枚 |
焦点距離 | 35mm(35mm判換算:53mm相当) |
最短撮影距離 | 30.0cm |
最大撮影倍率 | |
開放F値 | F1.2〜16.0 |
画角 | 44度 |
手ブレ補正機構 | - |
防塵 | - |
防滴 | - |
サイズ・重量 | |
最大径×長さ | 65.8x41mm |
重量 | 230g |
フィルター径 | 46mm |
発売日 | |
発売日 | 2022年03月01日 |
価格情報2022.07.07 更新
製品情報
- カテゴリ
- 単焦点レンズ
- メーカー
- Nikon
- タイプ
- 標準
- マウント
- Nikon Zマウント
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価格 | 新品:69,800円〜 中古:67,800円〜 | 新品:31,878円〜 中古:27,500円〜 | 新品:74,931円〜 中古:60,000円〜 | 新品:250,470円〜 中古:228,080円〜 | ||
焦点距離 | 35mm(35mm判換算:53mm相当) | 40mm | 50mm | 50mm | 50mm | 58mm |
F値 | F1.2〜16.0 | F2.0〜16.0 | F1.8〜16.0 | F2.0〜16.0 | F1.2〜16.0 | |
絞り羽根枚数 | 12枚 | 9枚 | 9枚 | 12枚 | 9枚 | 11枚 |
手ブレ補正 | - | - | - | - | - | - |
重量 | 230g | 170g | 415g | 347g | 1,090g | 2,000g |
発売年月 | 2022年03月 | 2021年10月 | 2018年12月 | 2022年05月 | 2020年12月 | 2019年10月 |