製品解説
愛用者の作例(1)
スペック
PENシリーズの最後まで生産されたロングセラーモデル
ハーフカメラであるPEN EEシリーズの三代目として発売されたPEN EE-3。ハーフサイズカメラとは、フィルム1コマ分を縦に2分割して撮影するタイプのカメラのことで、通常の2倍の枚数分撮影することができます。
PENシリーズを手掛けた米谷氏はおばあちゃんや子どもでもスイッチを押すだけで写真が撮れるカメラは作れないか考えました。ボタン一つで写真が撮れるカメラという概念はなかなか理解してもらえない中、米谷氏が周囲を説得し開発にこぎつけ、1961年全自動カメラOLYMPUS PEN EEが発売されました。
その後PEN EEシリーズは改良を重ね、1973年PEN EE-3が誕生しました。EE-3は人気が高く、後継機のFEよりも長く生産され、PENシリーズの最後まで生産されたモデルとして親しまれました。
OLYMPUS PEN EE-3の特徴
1.レザー部分がブラックに
コロンとしたフォルムとレトロなデザインがかわいいPEN EEシリーズの良さはそのまま引き継がれたEE-3。EE-2まではレザーの部分がグレーで生産されていましたが、EE-3からはブラックに変更され、少しかっちりした印象になっています。
2.プログラムオートで操作は簡単
デジタルカメラでいうところの「P」モードがEE-3にも搭載されています。被写体の明るさに合わせてシャッタースピードと絞りを自動で調整してくれるので、難しい設定は考えずにシャッターを押すだけできれいな写真が撮れます。
また、シャッタースピードは、1/30秒または1/250秒のどちらか最適な値の方に自動で切り替えてくれます。
3.GN14専用フラッシュマチック機構を搭載
EE-2からの改良として大きなポイントは、フラッシュマチック機構です。GN(ガイドナンバー)とは、フラッシュの発光量のことで、数値は大きいほど光が強くなります。GN14専用フラッシュマチックとは、PEN専用のストロボPS 200と合わせて使用するときにだけ、被写体までの目測距離を設定すると、絞りを自動で調整してくれる機構のことを指します。
この機構が使えるようになったことで、室内などの暗い場所での撮影が簡単になりました。使ってみたい方は、ボディと一緒に専用ストロボを購入する必要があります。
使い方
使い方はとってもシンプルで、フィルムを装填したら、レンズについているフィルム感度設定ダイヤルを回して、装填したフィルムの感度を設定して、シャッターを押すだけです。細かい設定などは無いので、フィルム交換のできる「写ルンです」のような感覚で撮影できます。
最短焦点距離が0.9mで、大体ピントが4m付近で合います。なので、被写体から大きく一歩下がった位置で撮影するという感覚でピントが合います。暗い場所での撮影が苦手なカメラなので、光量が足りないとファインダーに「赤ベロ」という警告が出され、シャッターが下りなくなります。明るい場所に移動するとシャッターが下りるようになります。
また、ハーフサイズは一コマを縦に区切って撮影できるように設計されているので、普通のカメラは横に構えると横長になるのに対し、ハーフサイズは縦長の写真になるので、横長の写真が撮りたい時はカメラを縦に構えましょう。
EE-3はプログラムオートではありますが、マニュアル操作も可能です。慣れてきたらぜひマニュアル設定にもチャレンジしてみてください。
現像に出す際は注文時に「ハーフサイズカメラで撮影した」と一言添えるとスムーズです。
作例紹介
フィルムらしい粒子感を存分に引き出すEE-3は、日常の優しい空気を写すことが得意と分かる一枚です。
二コマを一枚に印刷するニコイチ印刷にすることで、パノラマ写真のように楽しむこともできます。
フレアが起きやすいEE-3ならではの作品。あえて逆光で撮るのも楽しくなるカメラです。
優しい空気を切り取った作品。子どもにピントが合っていないところがEE-3らしさを感じます。
中古市場の流通状況や相場
オンラインショップでの相場は、7,000円から15,000円です。ボディの状態によって価格は大きく変わりますが、元々人気の高かった機種なので流通量が多く、EEシリーズの中でも比較的状態の良いものが多いです。
オンラインでも購入可能ではありますが、1973年から発売されている機種なので、シャッタースピードが切り替わるか動作チェックが行われているかなどは確認した方が安全です。
まとめ
ハーフサイズカメラの代名詞とも言われるEEシリーズの三代目、PEN EE-3。デザインや使いやすさ、性能の高さから人気を博し、EEシリーズの最後まで生産された機種です。長く生産されていたため、中古流通量が多く、比較的状態の良いものが10,000円前後で手に入ります。
粗い粒子感やフレアなどの偶発的な出会いの多いEE-3は、温かさや優しいフィルム写真らしい雰囲気を簡単に引き出してくれます。操作もフィルムを入れてシャッターを押すだけと簡単なので、これからフィルムカメラを始めたい方にもおすすめです。
ぜひ、PEN EE-3と共に、フィルムで遊んでみてはいかがでしょうか。
OLYMPUS PEN EE-3
OLYMPUS PEN EE-3
OLYMPUS PEN EE-3
OLYMPUS PEN EE-3
レンズマウント | |
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型式 | ハーフサイズレンズシャッターカメラ |
レンズマウント | その他 |
ファインダー | |
視野率 | |
倍率 | |
ミラー | |
露出制御 | |
測光方式 | |
測光範囲 | |
露出モード/撮影モード | プログラムAE |
ISO感度 | |
多重露光 | - |
シャッター | |
シャッター速度 | 1/30・1/250秒自動切り替え |
巻き上げ・連写速度 | |
レリーズ機能 | |
セルフタイマー | - |
AF | |
AF方式 | |
測距点 | |
電源 | |
使用電池 | 不要 |
サイズ・重量 | |
サイズ | |
重量 | |
発売日 | |
発売日 | 1973年05月01日 |
製品情報
- カテゴリ
- フィルム
- メーカー
- OLYMPUS
- タイプ
- ハーフカメラ
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OLYMPUS PEN EE-3 | OLYMPUS PEN EE-2 | OLYMPUS PEN EE | OLYMPUS PEN EED | OLYMPUS PEN F / FT / FV | OLYMPUS PEN EES / EES-2 | |
価格 | 中古:2,200円〜 | 中古:2,200円〜 | 新品:87,780円〜 中古:4,080円〜 | 中古:10,000円〜 | 中古:10,400円〜 | 中古:12,400円〜 |
レンズマウント | その他 | その他 | その他 | その他 | Pen Fマウント | その他 |
露出モード | プログラムAE | プログラムシャッター | ||||
シャッター速度 | 1/30・1/250秒自動切り替え | 1/30・1/250秒自動切り替え | 1/60秒(1962年以降1/30秒、1/250秒自動切り替え式) | 1/500〜1/15秒 | 1/500〜1秒 | 1/30秒、1/250秒 |
重量 | 350g | 350g | 600g | |||
発売年 | 1973年 | 1968年 | 1961年 | 1967年 | 1966年 | 1962年 |
EE-3とRICOHの使い分けはそのときの気分です(笑)。わたしの中だと、EE-3はきっちり撮りたいときに、RICOHは気軽に連続で撮りたいときなどに使い分けたりしています。
EE-3は1枚1枚巻いて撮らなければならないですが、RICOHはゼンマイ式なのでゼンマイを巻くと3〜4枚くらい連続で撮れるのが魅力だと思います。ハーフカメラは、倍撮れるし、2コマでストーリー性も生まれるのでとても楽しいです。思ってもいない2枚が1枚に収まることもあるので、そこも魅力ですね。