TAMRON 28-200mm F/2.8-5.6 Di III RXD (Model A071) [ソニーE用]

これぞ高倍率ズームの真価と感じさせるレンズ

TAMRONは大ヒット超高倍率ズームレンズの18-400mm F/3.5-6.3 Di II VC HLDをはじめ、一眼レフ時代から様々な高倍率ズームレンズを発売してきました。

また、TAMRONはSPレンズ群という、サードパーティレンズでも純正レンズに匹敵するような高い光学性能を持ったレンズを発売する一方で、高倍率ズームなど利便性が良く、コスパの高いレンズを発売しています。

28-200mm F/2.8-5.6 Di III RXDはそのTAMRONの両方の特徴を合わせた様なレンズ。開放F値は広角端でF2.8と明るいズームレンズであると同時に、広角から中望遠までカバーする7.1倍という高倍率ズームレンズです。

今まで、明るいズームレンズというとF2.8やF4通しといった開放F値が一定のレンズが一般的であり、キットレンズなどではF5.6‐F6.3など、F値がF4～F5前後スタートのレンズが一般的でした。しかし、TAMRONが発売したのはF2.8スタートという広角端28mmでの明るさを持ちながら、F値は変化するものの200mmまで焦点距離を伸ばせるという明るさと高倍率を併せ持った今までになかったレンズ。

2020年発売時点で、7倍以上のズームレンズとしてはF2.8スタートは世界初となります。F2.8というと、カメラ愛好家はやはり高価な大三元レンズを思い浮かべますが、このレンズはF値が変動するので、高倍率ズームでもかなりコンパクトで、ミラーレスカメラボディと組み合わせてもバランスは良好。

全長117mm、重量は575gとペットボトルサイズのレンズです。価格も10万円を切っていて「手頃なレンズ」となっています。

一方で、光学性能やビルドクオリティの評価も高く、コスパは上々。高倍率ズームレンズというと、ズーム機構が大きく動くので鏡筒のガタツキなどが気になりますが、28-200mm F/2.8-5.6 Di III RXDはテレ端までズームしてもガタツキはなくしっかりとした作り。簡易防滴構造で不意の雨でも安心して使うことができます。

光学性能もF2.8を名乗るにふさわしい解像力があります。純正レンズの高倍率ズームレンズであるFE 24-240mm F3.5-6.3 OSSよりも解像力はワンランク上という評価もあり、さすがF2.8の明るいレンズとなっています。

このレンズの運用に単焦点レンズは必要か

高倍率ズームレンズは複数のレンズの役割を1本で賄えることが特徴ですが、一方でレンズが暗いので、明るい単焦点レンズも同時に持ち運んで、「ここぞ」というシーンでは単焦点で撮るという方法がとられたりもします。

一方で、大三元のような明るいF2.8ズームレンズはレンズ交換の時間がないような撮影シーンで、複数の単焦点レンズの代わりに運用されます。

さて、28-200mm F/2.8-5.6 Di III RXDはどうでしょう。標準域から中望遠域をカバーする高倍率ズームレンズでありながら、広角端はF２．８の明るさ。開放F値は、50mmでF3.5、100mmでF4.5、200mmでF5.6と変化します。高倍率ズームレンズとしては200mmまでかなりの明るさをキープしていて、ボケ量としては十分なボケを確保しています。

また、28-200mm F/2.8-5.6 Di III RXDは近接性能が高いことも特徴で、最短撮影距離は広角端で0.19m、望遠端で0.8ｍと前玉ギリギリまで寄って撮影することができます。

28-200mm F/2.8-5.6 Di III RXDは標準域から中望遠までの幅広い画角で撮影できる利便性やその明るさで暗所でもある程度撮影出来るという特徴、さらに近接撮影までこなせるので非常に汎用性の高いレンズです。もちろん、ピンポイントな描画力は単焦点レンズと比較すると劣る部分があることは否めないので、描画力を求めるのであれば単焦点レンズは必要となりそうです。

それでも、従来の単に焦点域が広い便利ズームとは違い、一歩踏み込んだ、最新フルミラノ描写も楽しめる、これ1本で多くの撮影シーンに対応できる高倍率ズームレンズとなっています。

愛用者のコメント

SONYα7Ⅱのボディを購入しフルサイズデビューする際に選んだレンズがTAMRON28-200mm。

季節の花々などのマクロに近い接写では背景を美しくボカし被写体を際立させ、飛行機からの広大な風景も細部まで美しく描写してくれます。

遠近幅広く撮影する自分のスタイルとはとても相性が良く、それまでのASP-C機（レンズキット）の時のようなレンズ交換の煩わしさは全く無くなり、ずっと付けっぱなしでストレスなく撮影ができるのは最大の魅力です。さらに軽量・コンパクトなのでサッと気軽に持ち出せて、近所の散歩から旅先までいつでもどこでも活躍してくれます。

ユーザーレビュー

■ ポジティブレビュー

• F2.8の明るさは高倍率ズームでは快挙といえる
• このレンズと明るい８５mmがあればほぼ何でも撮れてしまいそう
• AFも十分な速度で常用標準ズームとして魅力的
• 手ぶれ補正は優秀でテレ端1/100秒のSSでも十分撮影できる
• とりあえずのレンズとして全てを完結できるレンズ

焦点距離やサイズ感だけでなく、明るさも併せ持った使い勝手の良さに高評価が集まっています。

■ ネガティブレビュー

• やはりワイドの4mmの差は大きいので28mmスタートは残念
• 35mm～50mmでピントを外すことがあった
• 四隅で倍率色収差が出る
• 個体差かもしれないが、半年月ほどの使用で鏡筒内にホコリの混入があった
• 色味が黄色よりになるのが気になる

社外レンズということで、精度面などで不安要素もありますが、個体差もあるのでレンズ選びでは一考の余地がありそうです。

まとめ

汎用性が高いということが高倍率ズームレンズの特徴ですが、TAMRONが発売した28-200mm F/2.8-5.6 Di III RXDはあらゆる面で利便性が高いレンズとなっています。

28-200mmという標準域から中望遠までカバーする焦点域に加え、F2.8スタートの明るさ。さらに、近接性能も高く、簡易マクロ的に花撮影やテーブルフォトにも対応します。鏡筒のビルドクオリティも高く、それでいて価格は抑えられているので入手性も高くなっています。

はじめてフルサイズミラーレスを手にして、まだ撮影スタイルが固まっていないユーザーにとって、様々な撮影に対応できるこのレンズは魅力的な選択肢となります。