フルサイズ一眼の間口を広げる一台
Canonフルサイズミラーレスの入り口、フルサイズ一眼の間口を大きく広げる機種として、万人をターゲットに発売されたのがEOS RPです。
まず特徴的なのが価格設定。発売が同時期のフルサイズミラーレスの中では最安値での発売となりました。Canonフルサイズ一眼レフのエントリー機とされるEOS 6D Mark IIと実売同価格帯ということで、ターゲットが似たような消費者層であるといえます。
具体的にはEOS Kissからフルサイズ一眼デビューを考えている人や、写真を趣味とする為に最初の一台を探しているといった層です。
発売から時間が経てば、実売価格はEOS 6D MarkⅡよりもさらに下がることが予想されますし、フルサイズとしては圧倒的に軽量コンパクトなサイズなので、フルサイズ一眼の入り口に相応しいカメラといえますが、性能の方はどうなのでしょう。
上位モデルとなるEOS Rに準ずる性能なのはもちろん、画素数は26M、爆速AFを生み出すデュアルピクセルCMOS、バリアングル液晶と、Canonミラーレスとして申し分ない性能となっています。
外観は前述の通り、ミラーレスならではのコンパクトさが目立ちます。フルサイズ一眼レフは大きなイメージセンサーを収容したり、使い勝手を優先してボタン類が多く配置されたりするため、どうしても大きくなってしまう傾向にあります。
しかし、EOS RPはミラーレスの特性を生かし最小限のインターフェースにすることで、他のフルサイズ一眼レフより二回り以上、フルサイズミラーレスと比較しても一回りコンパクトになりました。
それによって重量も500gを切る軽さとなっており、単なるミドル機としてだけではなく、サブ機としての使用も可能に。パンケーキレンズなどと組み合わせて街歩きに使ったり、撮影予定のない旅行でも念のために携行するといった、いろいろな使い方ができます。
また、将来的にCanonのフルサイズミラーレスフラッグシップ機を手に入れたいという人は、発売までの繋ぎとしてRPを購入し、RFレンズの使用感を確かめるといった使い方もできます。
SNSの普及で一眼動画の性能に注目が集まる昨今ですが、RPは最高4K24Pで4Kに対応。しかし、1.7倍クロップなので、本格的な動画撮影を目的としてRP購入を検討している人は注意が必要です。画質をFullHDにすれば60Pでの撮影が可能なので、写真撮影をメインとし、プラス動画撮影というスタイルであれば、全く問題ないスペックといえます。
フルサイズならではのボケはポートレートで威力を発揮します。
フルサイズならではの広いダイナミックレンジが表現の幅を広げてくれます。
EOS Rとの比較
インターフェースでは、サブ液晶とマルチファンクションバーの有無が目立ちます。ミラーレスということで、サブ液晶の情報はEVFに表示可能、マルチファンクションバーは液晶の端をタッチすることで変更しタッチ&ドラッグで対応できるので、非搭載のRPでもデメリットはあまり感じません。
最も差異を感じるのはレンズ交換時の幕ではないでしょうか。Rはレンズ交換時に幕が下りるという画期的な機構を装備しています。レンズ交換時にイメージセンサーが露出してしまう上に、フランジバックが短いことでホコリの付着などが気になるミラーレスにとっては安心の機能となっていますが、RPには搭載されていません。
イメージセンサーの露出を気にしないというユーザーもいるため、必要不要の声は半々となりそうですが、高価なカメラを初めて買うユーザーのことを考えると、RPにこそ必要な機能ともいえるので、非搭載となっていることは残念に思います。
こういった上位機種との差異が、今後発売されていく機種の機能にどう反映されていくのか、楽しみなところでもあります。
製品 | Canon EOS RP | Canon EOS R |
---|---|---|
価格 | 新品:114,230円〜 中古:109,800円〜 | 新品:133,713円〜 中古:156,800円〜 |
センサーサイズ | フルサイズ(35.9×24.0mm) | フルサイズ(36.0×24.0mm) |
有効画素数 | 2,620万画素 | 3,030万画素 |
連続撮影速度 | 最高約5.0コマ/秒 | 最高約8.0コマ/秒 |
4K対応 | ○ | ○ |
手ブレ補正 | - | - |
防塵・防滴 | ○ | ○ |
撮影可能枚数 | 常温(+23℃)約250枚/低温(0℃)約240枚 | 常温(+23℃)約370枚/低温(0℃)約350枚 |
重量 | 440g | 580g |
発売年月 | 2019年03月 | 2018年10月 |
Z6との比較
NikonはフルサイズミラーレスでZ6、Z7の2機種を展開していますが、Canonとは戦略が異なり、いずれも中級機以上の価格と性能になっています。
Z6はZ7の下位モデルとなりますが、Rの廉価版であるRPと比較すると、発売時の価格で10万円近く高くなっています。RPとZ6の連写速度やEVFのドット数、バッテリー容量の差は、価格分の差ともいえるでしょう。
そもそも連写速度は、RPだけではなくRもZ6に負けているので、CanonとNikonの違いともいえます。ただし、画素数や測距点数、低輝度合焦、バリアングル液晶ではCanonが有利で、RPの方が高性能となっています。このような一長一短を考えると、Nikon派が敢えてRPを買ったり、CanonからNikonに乗り換えてZ6にするという人は少ないといえるでしょう。
製品 | Canon EOS RP | Nikon Z 6 |
---|---|---|
価格 | 新品:114,230円〜 中古:109,800円〜 | 新品:112,980円〜 中古:143,800円〜 |
センサーサイズ | フルサイズ(35.9×24.0mm) | フルサイズ(35.9×23.9mm) |
有効画素数 | 2,620万画素 | 2,450万画素 |
連続撮影速度 | 最高約5.0コマ/秒 | 最高約12.0コマ/秒 |
4K対応 | ○ | ○ |
手ブレ補正 | - | ○ |
防塵・防滴 | ○ | ○ |
撮影可能枚数 | 常温(+23℃)約250枚/低温(0℃)約240枚 | 310コマ |
重量 | 440g | 585g |
発売年月 | 2019年03月 | 2018年11月 |
ミラーレスならではの欠点
EOS RP最大の欠点はバッテリーかもしれません。ミラーレスは常にライブビュー撮影を行っているようなものなので、一眼レフと比較するとバッテリーの持ちが良くありません。特にRPはバッテリーサイズが小さいので、1日撮影するのであれば予備バッテリーが欲しいところです。
あと一つ、不満点を挙げるとすれば、AF-Cでの連写性能です。せっかく爆速AFだというのに、AF-Cでの連写スピードは4コマ/s。そこまで落ちてしまうとスポーツなどの動体撮影には不向きなので、もったいない印象です。
しかし、Canonの一眼レフには7Dという動体撮影の神カメラとも呼ばれる機種があり、7Dの後継はミラーレスで登場するとの噂もあるので、スポーツや野鳥撮影を主とするCanonユーザーはそちらに期待です。もちろん、シングルショットのAFは爆速なので、子供の撮影や運動会程度なら、不満なく撮影できるでしょう。
以上の不満点はあくまで一眼レフと比較したときのもので、RPのエントリー機という位置付けを考えると、要求が高すぎるともいえます。むしろ、そういった面での改善が進んでいけば、フルサイズミラーレスのフラッグシップ機誕生となるのでしょう。
作例紹介
レンズマウントとおすすめレンズ
EOS RPのレンズマウントは新しいRF規格なのですが、RFマウントのラインナップは高価なものが多く、手が出しにくくなっています。もちろん、はじめからそういったレンズを購入しても良いのですが、おすすめはマウントアダプターを購入して、EFレンズを使うという方法。
例えば「EF50mm F1.8 STM」というレンズなら、マウントアダプターでRPに装着可能、1万円ちょっとで購入できます。まずはマウントアダプターを使用して、EFレンズを試してみてはいかがでしょうか。
愛用者のコメント
宮城県生まれ宮城県育ち。5歳男子と2歳女児の母。 写真の他には映画サントラと森見登美彦の小説が大好きで映画音楽×森見調の文章×自分の写真で構成した「どうでもいい話をしよう」(Instagramストーリーズ)の更新が今一番楽しいです。一切有益な情報のないどうでもいい話ですが、無駄なことに労力を払えることに人間の面白さを感じています。 美味しい五目焼きそば屋さんの開拓をライフワークとしています。今の所の不動の1位は大慶飯店です。
ボディはCanon EOS RP,レンズはRF35mm F1.8 MACRO IS STMを愛用しています。
「相武えつ子さんのような写真を撮りたい」と思ったのでそれを叶わせるにはどうしたら良いか。機材が同じなら条件は同じ、という単純な理由でこの組み合わせに落ち着きました(実際は相武さんはEOS Rなのでちょっと違うのですが)。
もし機材が違かったら、上手く撮れないのは機材のせいにしてしまうと思うんです。同じなのに撮れないのはなぜか、自分の腕がないからだ、と問題をシンプルにして考えられるしある意味で腕以外の逃げ場をなくせるので ストイックに技術向上と向き合えます。
お気に入りは軽いところ!軽さは正義だと思います。気軽に持ち出せないことには撮る機会すらなくなってしまう。引きの写真が苦手だったのですが、50mmから35mmにしただけで引きに見えるのでとても助かっています。
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ユーザーレビュー
- 操作ガイドが充実しているので、はじめてのフルサイズでも安心。
- 画質、性能は申し分なし。
- ほとんどのシーンでノイズの心配なしで撮影できる。
- 瞳AFとや顔認識AFがかなり便利。
- 持ち歩き用としてEOS Mから買い替え。フルサイズを持ち歩けるのは魅力。
やはりCanon待望のフルサイズミラーレスということで、軽量でありながらフルサイズならではの高画質に高評価が集まっています。フルサイズミラーレスとして、ライトユーザーにはコスパの高い一台となっています。
- レフ機から考えると小さすぎて持ちにくい。
- 4K動画性能が不満。
- バッテリー不足なので予備は必須。
- ボディが小さいので、大きなレンズを装着するとかなりアンバランス。
- シャッター音が軽くてちょっと安っぽい。
- 連写があまり使えないので動きモノは撮りにくい。
EOS RPの自体の問題もありますが、ミラーレスカメラ全体に当てはまる問題もあるといえます。今後、ミラーレス機が一眼カメラの主流となっていく中でどの様にデメリットを潰していくかというところに注目となります。
まとめ
EOS RPは単なるエントリー機ではなく、Canonがユーザーにフルサイズミラーレスへのリクエストを問いかける一台といえるかもしれません。
Canonは今までの保守的なイメージとは打って変わって、EOS RとRPではタッチ&ドラッグなどの新しいインターフェースを取り入れました。従来の操作系に慣れていた人は戸惑いを感じますが、今後の大きな進化も期待させます。
まだフルサイズミラーレスを持っていないユーザーはRPと共に、フルサイズミラーレスとフォトグラファーとしての進化を体感してみるのも良いのではないでしょうか。
Canon EOS RP / SIGMA 50mm F1.4 DG HSM|Art
Canon EOS RP / SIGMA 50mm F1.4 DG HSM|Art
Canon EOS RP / RF35mm F1.8 MACRO IS STM
Canon EOS RP / RF35mm F1.8 MACRO IS STM
Canon EOS RP / RF35mm F1.8 MACRO IS STM
Eriko.Sさんのストーリー
レンズマウント | |
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レンズマウント | Canon RFマウント |
撮像素子 | |
センサーサイズ | フルサイズ(35.9×24.0mm) |
有効画素数 | 2,620万画素 |
ダスト低減機能 | ○ |
映像エンジン | DIGIC 8 |
画像記録 | |
記録媒体 | SDカード
|
スロット数 | シングルスロット |
記録画素数 | L(ラージ) :約2600万(6240×4160)画素
|
画像ファイル | JPEG/RAW |
動画 | |
4K対応 | ○ |
記録サイズ | 4K(4096×2160):25.00p
|
記録形式 | MP4 |
ライブビュー | |
フォーカス | デュアルピクセル CMOS AF方式 |
シャッター | |
シャッター速度 | 1/4000~30秒 |
連続撮影速度 | 最高約5.0コマ/秒 |
露出制御 | |
測光方式/測光分割数 | 撮像素子によるリアルタイム測光 384分割(24×16)測光 |
ISO感度 | 100〜40,000 |
AF | |
測距点 | 最大143点 |
ファインダー | |
視野率 | 100% |
倍率 | 約0.7倍 |
ストロボ | |
内蔵ストロボ | - |
液晶モニター | |
サイズ | 3インチ 104万ドット |
可動式 | バリアングル液晶 |
I/F | |
インターフェース | USB Type-C、miniHDMI |
無線LAN | |
Wi-Fi機能 | ○ |
ネットワーク | |
NFC | - |
Bluetooth | ○ |
防塵・防滴 | |
防塵・防滴 | ○ |
手ブレ | |
手ブレ補正機構 | - |
GPS | |
GPS | - |
電源 | |
撮影可能枚数(ファインダー) | 常温(+23℃)約250枚/低温(0℃)約240枚 |
撮影可能枚数(ライブビュー) | |
動画撮影可能時間 | 常温(+23℃)合計約1時間40分/低温(0℃)合計約1時間30分 |
USB充電 | - |
使用電池 | 充電式リチウムイオン電池LP-E17 |
サイズ・重量 | |
サイズ | 132.5(幅)×85.0(高さ)×70.0(奥行)mm |
重量 | 440g |
発売日 | |
発売日 | 2019年03月14日 |
価格情報2022.06.30 更新
製品情報
- カテゴリ
- ミラーレス一眼
- メーカー
- Canon
- タイプ
- ミドルモデル
- マウント
- Canon RFマウント
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価格 | 新品:114,230円〜 中古:109,800円〜 | 新品:262,777円〜 中古:102,800円〜 | 新品:112,700円〜 中古:98,800円〜 | 新品:106,170円〜 中古:91,800円〜 | 新品:94,000円〜 中古:133,800円〜 | 新品:119,889円〜 中古:134,800円〜 | 新品:92,680円〜 中古:73,000円〜 |
センサーサイズ | フルサイズ(35.9×24.0mm) | マイクロフォーサーズ(17.4 mm × 13.0 mm) | APS-C(23.5×15.7mm) | フルサイズ(35.9×23.9mm) | APS-C(23.5mm×15.6mm) | APS-C(23.5mm×15.6mm) | APS-C(23.5×15.7mm) |
有効画素数 | 2,620万画素 | 2,030万画素 | 2,088万画素 | 2,432万画素 | 2,610万画素 | 2,610万画素 | 2,088万画素 |
連続撮影速度 | 最高約5.0コマ/秒 | 最高約10.0コマ/秒 | 最高約11.0コマ/秒 | 最高約4.5コマ/秒 | 最高約30.0コマ/秒 | 最高約30.0コマ/秒 | 最高約11.0コマ/秒 |
4K対応 | ○ | - | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
手ブレ補正 | - | ○ | - | ○ | - | ○ | - |
撮影可能枚数 | 常温(+23℃)約250枚/低温(0℃)約240枚 | 330枚 | 310枚 | 390枚 | 360枚 | 325枚 | 280枚 |
重量 | 440g | 373g | 390g | 590g | 329g | 415g | 395g |
発売年月 | 2019年03月 | 2016年02月 | 2021年07月 | 2020年08月 | 2021年11月 | 2020年11月 | 2019年11月 |
ボディはCanon EOS RP,レンズはRF35mm F1.8 MACRO IS STMを愛用しています。
「相武えつ子さんのような写真を撮りたい」と思ったのでそれを叶わせるにはどうしたら良いか。機材が同じなら条件は同じ、という単純な理由でこの組み合わせに落ち着きました(実際は相武さんはEOS Rなのでちょっと違うのですが)。
もし機材が違かったら、上手く撮れないのは機材のせいにしてしまうと思うんです。同じなのに撮れないのはなぜか、自分の腕がないからだ、と問題をシンプルにして考えられるしある意味で腕以外の逃げ場をなくせるので ストイックに技術向上と向き合えます。